2022 Fiscal Year Research-status Report
バイオメカニクスとロボティクスに基づく肺機能/形態融合の次世代動体追跡放射線治療
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22K07667
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
椎木 健裕 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (30610456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 文武 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30274179)
藤本 昂也 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (20867816)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / バイオメカニカルモデル / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は,呼吸性移動を伴う腫瘍に対して動体追跡放射線治療技術を開発し,臨床応用してきた.しかし,本治療は,正常臓器の生理機能を考慮できておらず,副作用への対応が懸念材料となる.そこで,本年度の研究では,四次元CT画像と有限要素法を用いた患者個別の肺機能予測のための肺ストレスマップを開発した. 4次元CT(Computed tomography)画像の吸気・呼気の肺構造を有限要素法を用いて,メッシュ構造へ分解する.吸気CTに対して,CT値からヤング率を割り当てることで,初期値を決定した.吸気・呼気の肺メッシュ構造を非線形モデルを用いて,位置合わせを行い,呼吸により肺全体に加わるストレス分布を算出するアルゴリズムを開発した. 開発したアルゴリズムを検証するため,呼吸機能検査であるスパイロメトリーの検査値と肺内のストレス値を比較した.また,肺ストレス値が慢性閉塞性肺疾患(COPD)の重症度の診断能を有しているかを評価した.さらに,従来実施されている吸気・呼気CT画像のCT値を用いたCOPDの診断能と比較した. 肺腫瘍に対して放射線治療を実施した25症例を対象とし,開発したアルゴリズムの検証を行った.全肺におけるストレスの平均値は,スパイロメトリーの検査値である1秒量と努力肺活量と強い相関関係であった.また,COPDに対して高い診断能を有していることを示した. さらに従来のCT値を用いたCOPDの診断能と比較して,同等の診断能を有していることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺腫瘍に対する放射線治療計画時に撮影される四次元CT画像に対して,医用画像処理や生体力学シミュレーションを用いることで,肺機能を測定する(肺のストレス値を計算する)アルゴリズムの開発を行うことができた. さらに,この計算値は,肺機能と相関があることから,肺機能のイメージングバイオマーカーになりえる可能性も示すことができ,技術開発および臨床評価の両方を行うことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発したアルゴリズムから算出される肺機能情報を治療計画や画像誘導放射線治療装置に導入して,より臨床応用を追求していく.また,呼吸性移動により生じる回転運動を保証するロボット機構の基盤を構築していく予定である.
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Causes of Carryover |
有限要素法によるストレス値の計算は,膨大な計算量が必要となるため,高精度ワークステーションを計上していたが,他の計算環境を整えることができたので,使用額との差が生じた. 今後は,治療装置の開発基盤であるロボットシステムと実験環境設定に費用を使用していく予定である.
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Research Products
(8 results)