2022 Fiscal Year Research-status Report
PETイメージングを用いた慢性脳虚血がアルツハイマー病理発現におよぼす影響の解明
Project/Area Number |
22K07683
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 浩 京都大学, 医学研究科, 研究員 (40360812)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | タウ / 慢性脳虚血 / ポジトロンCT / 脳血管障害 / 分子イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内タウ蓄積は、アルツハイマー病で認知機能障害を引き起こす鍵となる病理変化である。アルツハイマー病モデル動物では、脳血管病変による慢性脳虚血がタウの異常なリン酸化と蓄積を増加させる。本研究の目的は、脳主幹動脈閉塞症患者を対象とし、PETにより脳循環代謝とタウ蓄積の両者を評価し、慢性脳虚血とタウ蓄積の関連性を検討し、慢性脳虚血がタウ蓄積に寄与するかどうかを明らかにすることである。 本研究で使用するタウイメージング剤の[18F]PMPBB3は、放射性医学総合研究所で開発されたオリジナル薬剤であり、Apprinoia社が、臨床薬剤([18F]florzolotau)として開発を進めている。研究開始にあたり、新規タウ製剤のヒトでの特性を把握しするため、健常者3例における[18F]florzolotau投与後の全身分布の検討をApprinoia社の治験として行なった。引き続き、脳主幹動脈閉塞症患者患と、健常者のタウPETイメージングを開始した。今年度、患者8例、健常者10例のタウPETイメージングを施行できた。[18F]PMPBB3集積の患者群と健常者群との比較、および、患者群における[18F]PMPBB3集積の脳循環障害との関係の横断的解析を行い、論文として発表した。 【方法】内頸あるいは中大脳動脈に狭窄または閉塞を有する患者8例を対象とし、PETと[18F]PMPBB3を用いて、タウ蓄積量を求めた。投与後100-110分のstandard uptake value ratio(SUVR) を計算した。中大脳動脈大脳皮質で、SUVRと15O-Gasを用いて求めた酸素摂取率の関係を検討した。【結果】健常側と比べて、病変側の酸素摂取率とSUVRは増加しており、SUVRは、酸素摂取率と有意に正相関していた。【結論】貧困灌流は、タウ蓄積増加と関連している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
患者8例、健常者10例の[18F]PMPBB3 を用いたタウPETイメージングを施行できた。少数例ではあったが、[18F]PMPBB3集積の患者群と健常者群との比較、および、患者群における[18F]PMPBB3集積の脳循環障害との関係の横断的解析を行うことができ、統計学的に有意な解析結果を得ることができ、横断的研究のデータを論文化することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
さらに症例を増やして、詳細な横断的解析を行なっていく。[18F]FPYBF2 を用いたアミロイドPETイメージングを追加する。可能な症例をフォローアップし、[18F]PMPBB3を用いたタウPETイメージングを施行し、縦断的解析を行う。
|
Causes of Carryover |
本年度は、まず少数例のデータで横断解析を行い単純な解析で有意な結果が得られ、論文化した。そのため、解析用パソコンおよびソフトウェアの購入は次年度以降に先延ばしした。その分論文掲載料(オープンアクセス)(予算項目その他)に予算を回した。今後は当初の計画通りに症例を増やし、予算も執行する予定である。
|
Research Products
(4 results)