2023 Fiscal Year Research-status Report
悪性黒色腫の標的α線治療を指向するAt-211標識薬剤開発
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22K07686
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 博元 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (00707648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 一郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 放射線生物応用研究部, 主任技術員 (60817477)
大江 一弘 大阪大学, 放射線科学基盤機構附属ラジオアイソトープ総合センター, 准教授 (90610303)
渡部 直史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90648932)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アスタチン-211 / α線 / 悪性黒色腫 / ネオペンチル構造 / ヨウ素-125 / 脱ハロゲン / α-メラノサイト刺激ホルモン / メラノコルチン-1受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性黒色腫に対する標的α線治療薬剤の開発を目的とし、α線放出核種の一つであるアスタチン-211(211At)で標識したα-MSHペプチド誘導体の開発を進めている。昨年度、有望な候補薬剤としてD-グルタミン酸と-D-アルギニンのジペプチド(er)の水溶性リンカーを用いたα-MSHペプチド誘導体を導出することができた。そこで、今年度は本候補薬剤について検討を進めた。これまで検討していた211At標識体の体内動態は投与3時間後のみであったことから、タイムポイントを振った体内動態を改めて検討した。投与1時間後に腎臓にて高い集積が観察されたが、投与3時間後では20%程度まで低下し、速やかに消失することを認めた。腫瘍集積量は投与1時間後と3時間後で同等であったが、投与15時間後には20%程度まで低下した。長期にわたる滞留性は示さなかったものの、211Atは半減期が短いことから治療効果を得るには十分な腫瘍集積であると考え、候補薬剤の治療実験を実施した。標識反応後に得られた放射能が少なく、限られた投与量で治療実験を行ったが、腫瘍増殖抑制効果が認められ、本薬剤の有用性が確認できた。一方、候補薬剤の投与早期で観察された腎臓における集積を低減するため、新たな水溶性リンカーの探索も進めた。ピペリジン構造を含む人工アミノ酸を導入した新規配列数種の検討を進めており、これまでに1種については体内動態を評価した。腎集積を低減したものの、腫瘍集積の低下を認めており、引き続きリンカーの探索を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では令和5年度上期までに候補薬剤を導出し、下期に候補薬剤の評価実験を実施する予定であった。また、治療実験は令和6年度に実施する予定であった。令和4年度に有望な候補薬剤を導出できたことから、令和5年度は予定通り評価実験を終えたことに加え、治療実験についても実施できており、実験は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に治療実験を実施できたが、投与量が少なかったことから、来年度はより高用量投与時の腫瘍増殖抑制効果について検討する予定である。また、腎集積を低減可能な新規水溶性ペプチドリンカーの探索を引き続き実施し、より優れた悪性黒色腫を標的とする核医学治療薬剤の開発を目指す。今年度検討した1種に加え、すでにもう1種合成は終えており、その評価実験を予定している。また、来年度はさらに2種のリンカーについて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度中に計2回大阪大学へ出張し、211Atを使用する実験を分担者と協力して実施する予定であったが、スケジュール調整の問題もあり1回に変更した。これにより分担者の当初使用予定額が想定より下回ったことから、次年度に使用することとした。
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