2023 Fiscal Year Research-status Report
NMDA受容体シグナル抑制と温熱療法併用放射線治療での膵臓癌の克服
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22K07711
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
飯泉 天志 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (20784630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 寿 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00239617)
松本 孔貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70510395)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NMDA受容体 / 放射線治療 / 温熱治療 / 増感作用 / 膵臓癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ヒト膵臓癌細胞Panc-1およびBxPC3におけるNMDA受容体発現の確認:Revevrse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)によるPanc-1細胞およびBxPC3細胞におけるRNAの発現状況を調査し、NMDA受容体のサブユニットに対応するRNAの発現状況をPanc-1細胞、BxPC3細胞ともに明らかにした。また、NMDA受容体サブユニットの蛋白発現状況もWestern blottingを用いて一部明らかにした。蛋白発現状況については、次年度も継続して調査予定である。 2. 毒性評価試験と細胞死実験:当初、NMDA受容体拮抗薬であるMK-801およびメマンチンを用いてIC50を測定する毒性評価試験を実施して調査する予定であった。しかしながら、従来報告されている癌細胞に対するNMDA受容体拮抗薬の使用濃度が神経科学分野で用いられている濃度と比較してきわめて高いことが原因で細胞死を引き起こしている可能性が示唆された。そこで、NMDA受容体発現のないHEKT細胞とPanc-1細胞、BxPC3細胞を用いて毒性評価を行ったところ、我々の想定通りの結果となった。そのため、ゲノム編集技術を用いてPanc-1細胞についてNMDA受容体サブユニットに遺伝子変異を導入してNMDA受容体の機能を阻害した細胞を作成することとし、樹立に成功した。今後この細胞を用いて、細胞死実験を進める予定である。 3. NMDA受容体拮抗薬の細胞周期停止機構への影響:上記2.の実験の次の段階として実施予定である。 4. 3次元(3D)培養腫瘍モデルへの効果を検証する:上記2.で得られた最も抗腫瘍効果の高い組み合わせを用いて、検証予定である。 また、上記1-4について学会参加を通じて実験手法やトランスレーショナル研究への移行の仕方等について情報収集に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初想定していた先行研究の報告に基づくNMDA受容体拮抗薬の濃度が、きわめて高濃度であり、高濃度であること自体が原因で細胞死が惹起されている可能性が今年度明らかとなった。そのため、拮抗薬の使用のような外因的要素によるNMDA受容体の阻害ではなく、内因的要素によってNMDA受容体を阻害するためにゲノム編集技術を用いてNMDA受容体サブユニットに変異を導入した細胞を樹立することに時間を要したのが、上記区分となった主要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で樹立した遺伝子変異導入Panc-1細胞を用いて、次年度においては、細胞死実験、細胞周期停止機構への影響、3次元腫瘍モデルへの影響を調査していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験プロセス全体が遅れたことが原因である。その結果、当初予定していたよりも前年度支出が少なくなり、次年度使用額が生じた。2024年度は、当初予定していた通りの実験を計画通りに実施する見通しである。
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