口唇・口腔癌への高線量率密封小線源による治療応用：治癒率向上を目指す新たな展開

2022 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 22K07720
• Research Institution: Okayama University
• Principal Investigator: 青山 英樹 岡山大学, 大学病院, 副診療放射線技師長 (60769264)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松崎 秀信 岡山大学, 大学病院, 助教 (70325124) ; 吉尾 浩太郎 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (70623297) ; 松下 利 岡山大学, 大学病院, 主任診療放射線技師 (70899137)
• Project Period (FY): 2022-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: 遠隔操作式後充填装置 / 早期口唇癌・口腔癌 / 画像誘導小線源治療 / セットアップエラー / 口腔内固定具 / 線量計

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、遠隔操作式後充填装置（Remote After Loading System、以下、RALS）を利用する高齢者の早期口唇癌・口腔癌を対象とした照射技術・線量計挿入型口腔内固定具の開発・線量評価方法を検討し、Quality of lifeを重視する治療成績向上に向けて取り組むものである．
本研究の具体的な目的は，①模擬腫瘍ファントムを作製し、単純モデルによる線量評価が可能な実験系を構築する。②毎回の線量評価が可能な線量計挿入型口腔内固定具（モールド）を開発する。③前述の基礎研究を考慮可能な治療計画から画像誘導小線源治療までのワークフローを構築し、安全且つ安心な小線源治療の基盤を展開させることを最終目標とする。これらの３項目と定めた．
当該年度に実施した研究の成果は、①の単純モデルのファントム作製を試みた。3Dプリンターによる作製を試みる準備実験として、手動手技での作製を実施した。その後、3Dプリンターを使用して研究目的を達成させるための単純モデルのファントムを複数パターンの作製を実施し、基礎実験の使用に耐えられるかの耐久および設置試験を繰り返した。試験内容の概要は、治療寝台への安定した設置方法の確認、線源留置カテーテルの適正な配置を主な内容として確認を行った。加えて、線量評価を実施するための線量計の選択についても検討を繰り返した。候補としていた線量計は、ガラス線量計素子、TLD素子、フィルムタイプ線量計である。ガラスおよびTLD素子を封入させるための穿孔加工を試みたが、正確な位置やサイズの加工に手間取ったためフィルムタイプ線量計の使用に変更を検討している最中である。最後に線源がスムーズに通過し停留する形状についても確認している。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

本研究は、模擬腫瘍ファントムによる基礎実験を確立することが研究成果を左右すると考えている。現在、複数パターンの模擬腫瘍ファントムを作製中であり、形状、繰り返し使用の耐久性、最適な線量計の決定および設置場所、これらの内容について検討を複数回繰り返している。そのため、現在までの進捗状況としては、最適な観察条件と正確な照射精度の再現性が可能なファントム作製に時間を要しており当初の研究計画からは遅れていると考えている。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策は、次年度前半には腫瘍ファントム作製を完成させ、単純モデルによる線量評価が可能な実験系を構築することに努める予定である。現時点で研究を遂行する上での課題をあげるとすれば、線量計挿入部の穿孔加工に苦慮しており、複数の作業工程の見直しをおこない繰り返し実験が精度良く実施できるような工夫が必要になると考えており、その具体的な対応策も再度検討することにしている。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は、研究スケジュールに遅れが生じ、購入予定であった資材を購入できなかったことが主な原因である。また、COVID-19の流行により当初に予定していた学会参加を見合わせたために旅費（宿泊および交通費）が発生しなかったためである。ここで、使用計画としては次年度に腫瘍ファントムの作製等に必要な資材、記録用デジタルカメラ一式、図面作製用コンピューターなどの購入に充当することを予定している。