2022 Fiscal Year Research-status Report
MRI標準化を目指した非混合型のT1・T2値模擬ファントムの開発
Project/Area Number |
22K07724
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
五月女 康作 福島県立医科大学, 保健科学部, 准教授 (80608795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英介 順天堂大学, 保健医療学部, 准教授 (00439150)
只野 喜一 杏林大学, 保健学部, 助教 (20759443)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MRI / ファントム / T1緩和時間 / T2緩和時間 / アプリケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
MRIにおいてT1・T2値を模擬できるファントムは過去にいくつか報告があるが,これらには長年直面する大きな問題が2つある。1つ目は、同じ手順で作成しても試料を調合する際にわずかな分量の誤差でT1・T2値が変わってしまい再現性が乏しいこと。2つ目は、複数の試料を混ぜると時間経過と共に空間的配置が変化して安定性が下がることである。従って、従来の混合型ファントムは同じものを作ることが困難で時間が経過すると信号値が変化してしまうため再現性と持続性が乏しかった。 そこで本研究では,T1緩和時間およびT2緩和時間を模擬できるMRIファントムを新しいコンセプトで開発する。従来法とは異なり,複数試料を“混ぜない”で単体のままMRIで信号値を得てから数字上で混ぜて任意のヒト臓器・組織の信号値を算出する“非混合型”ファントムとアプリケーションを提案する。そのために最適な試料の選定と応答関数の導出,さらにファントムを簡便で汎用的に使うためのアプリケーションを開発する。このファントムを日本中のMRI装置に配備することでMRI画像の『標準化』を一歩進めることを目指す。予定していた行程は,行程①:“非混合型”ファントム開発 仮想試料を用いたプレ検証,行程②: “非混合型”ファントム開発 実在試料のMRI計測と応答関数導出および検証,行程③: アプリケーションの開発 の3行程であり,現時点でその行程に変更はない。現時点で行程①を終えて行程②に進んでいる。行程①の部分で1つ結果が出ているが特許が絡んでくる可能性があるので学会発表は現時点では控えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で行程①を終えて行程②に進んでいる。 行程①「非混合型”ファントム開発 仮想試料を用いたプレ検証」では,まず3次元T1T2緩和時間定量画像で頭部,頚部,腹部,肩関節,膝関節,足関節,腰椎の高分解能画像を取得してT1・T2値を計測して,各部位におけるT1T2緩和時間の範囲を調査した。次に,調査した全部位に共通した「長いT1と長いT2」、「長いT1と短いT2」、「短いT1と短いT2」の3種類の仮想T1・T2値を決定した。そして,数値上で(実際の溶媒や溶質はここでは用いない)混合*率を変えて各部位のT1・T2値をカバーできる3種類の組み合わせを導出した。 *ここでいう「混合」とは実際に混ぜ合わせずに数値上で混ぜることを指す。 次に,行程②「”非混合型”ファントム開発 実在試料のMRI計測と応答関数導出および検証」においては,まず試料をMRIコイル内に設置する土台を3Dプリンタで作成した。次に,行程①で決定された3種類のT1・T2値に近い実在する3種類の試料を網羅的に探した。その結果,行程①で決定した「長いT1と長いT2」、「長いT1と短いT2」、「短いT1と短いT2」の3種類の仮想T1・T2値に対して,それぞれ2種類ずつの溶媒および溶質を見つけることができた。現在,他にも該当する試料を探索しつつ同時に次の行程「v. 「3種類の試料の混合率*」を“解”とする「任意の臓器・組織のT1&・T2値」を算出できる応答関数を機械学習逆問題ソルバーを用いて導出する」に進んでいる。 よって,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り現在内容も進捗も予定通り進んでいるため,基本的には申請書の通りに進めていく。行程②のⅴ「「3種類の試料の混合率*」を“解”とする「任意の臓器・組織のT1・T2値」を算出できる応答関数を機械学習逆問題ソルバーを用いて導出する。」が前半の肝となるため共同研究者とも相談し十分に時間と労力をかけ慎重に進める。 同時に,後半のアプリケーションの仕様についても準備を始めて別軸で早めに開発に取り組み始める。 行程①から③にマイルストーンを設置し,適宜学会発表と論文作成を進めていく。特許の準備も同時に進めていく。
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Causes of Carryover |
・コロナで国際学会に対面ではなくオンラインで参加したため旅費が余った ・MRI撮影の被験者アルバイトの回数が予定より減ったため謝金等が余った
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