2022 Fiscal Year Research-status Report
Is signal from mitochondria involved in radiation-induced inflammation?
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22K07725
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小橋川 新子 (菓子野新子) 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (70637628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菓子野 元郎 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00437287)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線 / ミトコンドリア形態 / Drp1 / SASP / 細胞老化 / 分泌因子 / 炎症 / ミトコンドリアDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線による癌治療において、照射に伴う炎症の軽減が課題であり、炎症性物質の発現機構の解明が必要となる。本研究は「放射線による炎症を軽減する手法の確立」を目指し、「放射線によるミトコンドリア断片化メカニズムの解明」そして「ミトコンドリアからのシグナルは老化関連分泌因子(SASP因子)の誘導に関与するのか明らかにする」ことを目的としていた。 当該年度は4月から1月まで産休・育児休暇を取得していた。このため、当初の計画通りには研究が進まなかったが、ベクターの作製・細胞への挿入などが2月から3月で行うことができた。今後、DRP1ノックアウト細胞を作製し、リン酸化部位変異DRP1を発現させる予定である。当該年度では放射線照射後のミトコンドリア断片化とSASP因子の発現との因果関係を明らかにすることを計画していたが、当初の計画よりもおおよそ半分の計画分しか進めることができなかった。一方で、放射線癌治療を考えるうえで、癌細胞の放射線感受性を左右する分泌因子も重要な要素である。当該年度では、癌細胞の放射線感受性にVEGFが関与することを論文にすることができた(Radiat Environ Biophys. 2023 62(2):213-220.)。また、3月には放射線応答で重要なタンパク質であるATMについての国際会議である「AT workshop 2023」に参加し、放射線照射後のATMの持続できな活性化機構について貴重な意見交換をすることができた。当該年度の活動日数は少なくなったが、今後の研究を進めるうえでは中身の濃い研究活動を実施することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は4月から1月まで産休・育児休暇を取得していた。このため、当初の計画通りには研究が進まなかった。本研究では、ミトコンドリア断片化を引き起こす、Drp1タンパク質の活性化に着目した。放射線照射後のDrp1タンパク質の活性化機構の解明するため、ヒト正常細胞においてCRISPR/Cas9システムを用いてDRP1ノックアウト細胞を作製し、リン酸化部位変異DRP1を発現させることを計画していた。現段階では、複数の部位をターゲットとしたDRP1ノックアウトするためのベクターを作製し、導入した細胞のクローンを採取した。この中にノックアウトできているクローンがあるか、確認を進めている。また、Drp1タンパク質の複数のリン酸化セリン部位をアラニンもしくはアルギニンに置換したDrp1ベクターを作製し、確認した。今後、Drp1ノックアウト細胞に変異Drp1を導入し、放射線照射後のミトコンドリア応答に違いがあるか確認する。この他、Drp1の活性化はcGASの活性化を引き起こすのか明らかにすることを予定していた。これについては、細胞分画を抽出し、放射線照射後、Drp1の活性化はミトコンドリア膜透過性の亢進、及びミトコンドリアDNAの放出に関与するのか検討する。今現在、解析を行っている段階である。照射後、Drp1によるミトコンドリア断片化とIRF3及びIRF1の活性化は生じるのか検討する予定である。更には、ミトコンドリアDNAの細胞質への露出とミトコンドリア形態変化との因果関係についても明らかにする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ミトコンドリア断片化とミトコンドリア膜透過性の亢進、及びミトコンドリアDNAの細胞質への放出との関連性を調べる目的で、放射線照射後、Drp1の活性化はミトコンドリア膜透過性の亢進、及びミトコンドリアDNAの放出に関与するのか明らかにする。作製済みのDRP1ノックアウト細胞及び翻訳後修飾部位のDRP1変異発現株を用いて、これらの細胞において照射後のミトコンドリア膜透過性の亢進に違いがあるのか調べる。同様に各細胞株においてミトコンドリアDNAの蛍光染色を行い、細胞質に放出されているのか、共焦点レーザー顕微鏡を用いて検出する。さらに、照射後、ミトコンドリア膜透過性の亢進とミトコンドリアDNAの放出の因果関係を明らかにするため、セルソーティング装置を使用して、膜透過性が亢進している細胞としていない細胞とを分離し、ミトコンドリアDNAの放出、Drp1のオリゴマー化や局在に違いがあるのか蛍光免疫染色によって検出する。 次に、ミトコンドリア断片化とcGASの活性化を調べる目的で、Drp1の活性化はcGASの活性化を引き起こすのか明らかにする。作製済みのDRP1ノックアウト細胞及び翻訳後修飾部位のDrp1変異発現株を用いて、これらの細胞において照射後のcGASのミトコンドリアDNAへの局在化に違いがあるのか、経時的に調べる。さらに、マイクロビーム照射によるcGASの活性化の違いを検討する。マイクロビーム照射によって細胞核・細胞核外の照射においてcGASの活性化に違いがあるのか、蛍光染色にて検討する。また、放射線照射後、ミトコンドリア断片化によってIRF3(cGAS下流)及びIRF1の活性化は生じるのか検討する。DRP1ノックアウト細胞及び翻訳後修飾部位のDRP1変異発現株を用いて、IRF3及びIRF1の活性化に違いがあるのか、ウェスタンブロットにて検出する。
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Causes of Carryover |
当該年度は4月から1月まで産休・育児休暇のため、研究があまり進まなかったため、余剰金が発生した。しかし、次年度以降の研究のために血清等をまとめて購入したために、次年度使用額はそこまで多額には残らなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] C9orf72-Derived Proline:Arginine Poly-Dipeptides Modulate Cytoskeleton and Mechanical Stress Response2022
Author(s)
Shiota T, Nagata R, Kikuchi S, Nanaura H, Matsubayashi M, Nakanishi M, Kobashigawa S, Isozumi N, Kiriyama T, Nagayama K, Sugie K, Yamashiro Y, Mori E.
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Journal Title
Frontiers in Cell and Developmental Biology
Volume: 10
Pages: 750829
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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