2023 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部がんに対する線量と線質を制御する新規重粒子線治療法確立のための基盤研究
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22K07736
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
小藤 昌志 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所, 副所長 (10375066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊川 裕明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 医長 (00793928)
稲庭 拓 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, グループリーダー (10446536)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | LET最適化 / 重粒子線治療 / 放射線抵抗性 / 頭頸部がん |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から行ってきた頭頸部がんに対する線量平均LETを制御する重粒子線治療の新規治療計画法のシミュレーション研究を論文化し公表した。過去に重粒子線治療を行った頭頸部がん患者13例の治療計画データ・CTデータを用い、臨床線量分布を維持したまま腫瘍体積内の線量平均LET最小値の最大化を試みた。その結果、既存の治療計画法と比較して腫瘍体積内の線量平均LET最小値を安全に中央値15keV/um増加できることを明らかにした。この結果により線量平均LETを制御する新規重粒子線治療は、これまでと同様の安全性で、より高い抗腫瘍効果が得られる可能性を示した。 このシミュレーション研究の結果を受けて実施している頭頸部がんに対する線量平均LET最適化重粒子線治療のFeasibility臨床研究について順調に患者登録が進み、12例の登録を完了した。この研究ではまず参照用に線量平均LET最適化を行わない通常の方法で治療計画を行い、続いて腫瘍内の線量平均LET最小値を最大化する線量平均LET最適化を行った。通常の治療計画と同様の線量分布を維持するため計画標的体積のD50%とD90%の誤差が原則±1%以内となることを条件とした。また正常組織への線量は線量平均LET最適化前後で臨床的に問題がないことを確認した。全例64 Gy /16回で治療された。LET最適化により腫瘍内の線量平均LET最小値は52 keV/μm から 63 keV/μmに、線量平均LET平均値は64 keV/μm から73 keV/μmに増加した。主要評価項目である早期有害反応についてはGrade3以上の皮膚障害、粘膜障害は認めず、またDLTと判断される他の事象も認めず、治療は安全に施行できた。副次的評価項目である局所一次効果はCR+PR率は67%であった。線量平均LET最適化重粒子線治療は安全に施行でき、有望な治療効果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーション研究については研究結果を論文化し公表した。臨床研究についても順調に研究を遂行し、研究結果の論文化を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究の論文化を進める。また臨床研究で行った線量平均LET最適化治療計画の堅牢性の評価や照射方向や照射門数などの線量平均LET最適化に適した検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が明けたが、海外学会の演題登録が既に終了しており海外出張等の予算が使用できなかった。次年度は既に海外発表の予定がある。またLET paonting照射の堅牢性の解析などにあらたなPC等の購入を予定している。
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