2022 Fiscal Year Research-status Report
小児腫瘍に対する陽子線治療後の成長障害予測と可視化に関する基礎研究
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22K07764
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水本 佳子 (大城佳子) 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (50550159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 斉志 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20512388)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 陽子線治療 / 成長障害 / 全国統一データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
小児腫瘍に対するX線治療や陽子線治療後の有害事象や成長障害に関する検証を行った。骨軟部組織、腎臓、消化管に対して、実際に当院でX線治療や陽子線治療が行われた20歳未満の小児を対象として、照射線量と照射体積のドジメトリ解析を行い、有害事象や成長障害と照射線量や照射体積との関連性を検証した。有症状の有害事象発生頻度が低いため、左右対称な組織や骨や腎臓の様に境界が明瞭な組織については無症状であっても照射後の体積変化の比較検証を行った。検証の結果、骨軟部や腎臓の成長は照射体積と照射線量に強い相関性があり、照射線量や照射体積が大きいほど成長障害のリスクが増加する事が明確となった。消化管の有害事象は併用する化学療法の影響が大きいことが分かったが、消化管は照射中の形状や大きさが日々異なるため、日々の変化を計算に含めた解析を検討している。 背骨や腎臓など明確に体積が算出可能な組織については、体積変化を経時的に計測する事により正確な測定を行う事が可能であり、照射量と成長率低下の関連性を計算式で表すことが可能となった。筋肉や皮下組織などの軟部組織は、骨や腎臓と異なり体位や撮影条件により組織の形状や体積が安定しないため、画像データの加工などの特殊な解析方法が必要であるとの結論に至った。上記の検証で得られた照射線治療や照射体積と有害事象の関連性のデータを元にX線治療と陽子線治療で生じ得る実際の有害事象について比較を行い、理論的に小児腫瘍に対する陽子線治療の有効性を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児患者に対するX線治療や陽子線治療の影響について、骨成長や腎臓の成長についてある程度の検証が終了した。消化管や骨軟部組織についてはデータ解析方法に工夫が必要であるとの結論となり、物理士によるデータ加工を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
過去に一度解析を行った骨成長に対する放射線治療の影響について追加調査を行う事とした。また、放射線治療による消化管障害や2次がんなどの有害事象についてX線治療と陽子線治療の比較を中心に追加研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
COVID19流行の影響で、海外学会での成果発表が行えなかったため次年度使用額が発生した。COVID19に対する規制緩和により各種学会での成果発表が可能となったため、本年度以降に随時発表、論文化を進める予定です。
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Research Products
(3 results)