2023 Fiscal Year Research-status Report
遠隔転移例に対する局所治療後の再発形式のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
22K07779
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
鹿間 直人 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (40283254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 直也 順天堂大学, 医学部, 教授 (00604282)
小杉 康夫 順天堂大学, 医学部, 助教 (90645235)
川本 晃史 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60862167)
村本 耀一 順天堂大学, 医学部, 助手 (20890601) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オリゴ転移 / 生物学的特性 / 腫瘍の活動性 / 転移再発形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年では進行期癌でも単発・少数個の遠隔転移に対しては積極的に局所療法を行うようになった。遠隔転移例でも単発・少数個転移の状態を維持し長期経過を辿る症例と、治療後早期に多発・播種性転移へと移行し死に至る症例とがあり、研究代表者らは転移形式のスペクトラムに着目した。単発・少数個転移を維持するメカニズムの解明を目的に、病巣の活動性及び細胞環境(細胞密度と組織構築の乱れ)が転移形式に深く関与するとの仮説の実証に向け、代謝画像であるFDG-PET検査および細胞の微小環境の評価に優れたMRI拡散強調像を用いて、活動性及び細胞環境と転移個数・転移臓器数との相関性を明らかにすることとした。単発・少数個転移を維持するメカニズムを解明し、少数個転移でも早期に播種性再発をきたす症例を除外することで、遠隔転移例における局所治療の有効性を最大化する研究への道を切り開く。 1)病巣の活動性と転移形式との相関性の確認:病巣の活動性を評価するためFDG-PET検査を用いることとし、研究代表者の施設の過去2年間で100例を目標にデータ収集を予定し、予定症例数のデータ収集を昨年度に完了させた。本年度はFDG-PET検査の各測定パラメータと病巣個数・分布の相関性を、臨床情報を組み入れて解析を進め、報告書を完成させる。 2)病巣の細胞環境と転移形式との相関性の確認:MRI拡散強調像のADC値(細胞密度や構築の乱れの評価)を求めるため前向きデータの収集を行うこととし、施設倫理審査委員会に研究計画書を提出し令和4年度に研究実施の承認を得て研究を開始した。令和5年度内に前向き登録を完了させた。現在、MRI拡散強調像検査のデータ解析と臨床データの統合的な解析を進めている。本年度中に報告書をまとめ本研究を完了させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)PET-CT検査を用いて腫瘍細胞の活動性を評価するため、過去に遠隔転移例でPET-CT検査が施行された100例の画像解析を完了した。各症例のPET-CT検査で測定した各パラメータのデータ収集を2023年度内に終了した。今後、年齢、性別、腫瘍個数、腫瘍径、原発部位、組織型などの臨床情報と統合させ解析を進める。 2)腫瘍細胞の細胞環境の状況を評価するため、MRI拡散強調像検査にてADC値(細胞密度や構築の乱れの評価)を測定した。同様の患者背景で収集した過去のデータがないため申請者施設で放射線治療を行う患者の同意を得てADC値の測定を前向きにデータ収集した。施設倫理審査委員会の承認の後、データ収集を開始し、令和6年3月時点で予定登録症例数50例に達した。現在、解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向性に変更はなく、1)PET-CT検査を用いて腫瘍細胞の活動性と転移形式との相関を求める研究と、2)MRI拡散強調像検査を用いて病巣の細胞環境と転移形式との相関を求める研究を進める。両研究ともに求めた測定値の他に、年齢、性別、腫瘍個数、腫瘍径、原発部位、組織型などの臨床情報を含めた解析を進め、腫瘍の活動性と細胞環境が転移形式に与える影響を解明していく。 MRI拡散強調像検査のADC値の測定は当初の計画より進捗状況が良好であり、予備解析を行い目標登録数の増加についても検討する。また、複数病変のMRI拡散強調像検査のADC値を測定できた症例に関しては、各病巣のADC値を評価することで、病巣ごとの性質の差も含めて評価し、1個体内に生じている病巣の生物学的特性の不均一性が播種性再発に与える影響を明らかにすべく解析を進めた。観察者間での測定範囲のばらつきを抑える特殊なソフトを購入し、再現性の高いデータ収集が可能となった。 昨年度は、研究者の人事異動に伴い研究の遅延が予測されるため、研究者代表者の所属する施設へ新たに赴任した研究者2名を加えることで研究を推進させたため、概ね研究は順調に進んでいる。収集したデータと臨床情報を用いた解析中である。さらに、1)PET-CT検査を用いた活動性と転移形式の研究と、2)MRI拡散強調像検査を用いたADC値と転移形式の研究の統合解析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響による海外出張の取りやめがあり、国内学会への参加とWebを用いての情報収集に切り替えた。物品費が当初の予定より多めであったが、昨年度の収支は5,061円の繰り越し金が生じた。
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[Journal Article] Efficacy and safety of FDG-PET for determining target volume during intensity-modulated radiotherapy for head and neck cancer involving the oral level2024
Author(s)
Kosugi Y, Sasai K, Murakami N, Karino T, Muramoto Y, Kawamoto T, Oshima M, Okonogi N, Takatsu J, Iijima K, Karube S, Isobe A, Hara N, Fujimaki M, Ohba S, Matsumoto F, Murakami K, Shikama N.
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Journal Title
European Journal of Hybrid Imaging
Volume: 8
Pages: 1-17
DOI
Peer Reviewed
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