2022 Fiscal Year Research-status Report
乾燥臍帯を用いたGATA1遺伝子解析-TAMの診断スコアリングシステム構築
Project/Area Number |
22K07815
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
岡本 年男 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20431405)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | GATA1 / 一過性骨髄異常増殖症 / ダウン症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
一過性骨髄異常増殖症(TAM)はダウン症候群の新生児期の重要な合併症であるが,変異クローンが微量であるが故に見過ごされる症例も存在する.これらの症例でも重篤な経過を辿る場合や白血病に進展する場合があるため,新生児期にTAMを正確に診断することは極めて重要であると言える.本研究ではTAMのより正確な診断に向け,Down症候群児の乾燥臍帯を用いて次世代シーケンサーによるGATA1遺伝子検査を行いTAMを後方視的に診断し,新生児期の血液検査所見や臨床像を組み合わせた診断スコアリングシステムを構築することを目指している. 当該年度では,これまでにダウン症候群の患者26名から研究参加の同意が得られた.全例の乾燥臍帯からゲノムDNAを抽出し,得られたDNAの濃度及び品質をアジレント社の Agilent 2200 TapeStation システムを用いて測定した.その結果,濃度の中央値は42.6ng/ml(範囲 6.21-206 ng/ml),DNA Integrity Number (DIN) 値の中央値は4.25(範囲 1.6-7.1)で,検体によって大きなばらつきが生じることが判明した.一方で,これらの検体を用いて従来法であるSanger法でGATA1遺伝子のエクソン2及び3の解析を行ったところ,濃度や品質に関わらずいずれの検体でも結果が得られ,TAMと臨床診断されていた症例全例でGATA1遺伝子変異を改めて同定することができた.この結果により,乾燥臍帯はTAMの後方視的診断に有用なツールとなることを証明できた. 次世代シーケンサーによる解析は現在準備中で,対象患者数を一定数増やした後に解析を始める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象数を100症例としているが,患者エントリーに時間を要している.外来受診時に同意を得た後,検体を持参して頂くのが数か月後の次回受診時となることが多く,時間を要する一因となっている,
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き患者エントリーを続ける.検体収集に関しては,宅急便などを利用して同意から検体入手までの期間短縮に努める.また,患者エントリーが進まない場合,当科関連施設の枠を超えて学会等を通じて全国に検体提供を依頼する予定である.
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Causes of Carryover |
患者エントリーが進まず,物品費等を計上していた次世代シーケンサーでの検討が行えていないため,次年度使用額が生じた.次年度は患者エントリーをより積極的に進めるが,もし進まない場合にも次世代シーケンサーでの検討は開始する予定である.
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