2022 Fiscal Year Research-status Report
PFAPA症候群患児の扁桃組織におけるinflammasome活性に関する解析
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22K07832
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
原 真理子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, リサーチアソシエイト (30744552)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | PFAPA症候群 / inflammasome |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、PFAPA患児の扁桃組織ではinflammasomeの異常活性とこれに伴う炎症サイクルが起きているという仮説に基づき、扁桃のinflammasomeの異常活性が扁桃炎や発熱周期の規則性と関連することを明らかにし、扁桃摘出術が病態機序に基づいた治療法として確立されることを目的としている。 手術により摘出した扁桃組織からmononuclear cellsを分離し、inflammasome活性を誘導した結果、発熱直後に摘出した群は、発熱から2週間以上経過した間欠期に摘出した群よりも有意にIL1bを産生することが示された。扁桃摘出時期によって、炎症応答に違いがあることが分かった。 また、組織学的な検討の結果、濾胞面積と直近の発熱からの期間が正の相関を持っており、発熱直後には濾胞は小さく、次の発熱にかけて徐々に増大する傾向にあることが示唆された。さらに、生理肥大群を非炎症性コントロール、反復性扁桃炎群を炎症性コントロールとして比較した結果、PFAPAではコントロール群よりも有意に胚中心面積が小さいことが示された。 以上の結果から、炎症に関与する責任細胞は発熱周期に応じて経時的な変化を持つ可能性があり、扁桃を摘出した時期をパラメータに用いるべきであること、さらに、扁桃組織を構成する細胞群の中でも濾胞・胚中心の形成に関わるB細胞、Tfh細胞に着目すべきであると考えらえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はPFAPA症候群、対照群(生理肥大、反復性扁桃炎)ともに手術件数が例年よりも少なく、予定よりもサンプル数を増やすことができなかった。特にPFAPAは、発熱周期のなかでも様々な時期に摘出したサンプルを収集する必要があることが明らかとなり、今後も前向きに集める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き各群のサンプルを積極的に収集していく。十分なサンプル数が集まり次第、Flow Cytometryを用い、B細胞、Tfh細胞を含めた扁桃mononuclear cellsの全体の細胞比率を解析する。また、各細胞におけるinflammasome関連因子(IL1b, caspase-1, gasdermin D)の発現も測定する。各対照群(生理肥大、反復性扁桃炎)との比較、さらには扁桃摘出時期による比較を行い、責任細胞を同定する。その後、責任細胞を単離し、inflammasome活性を誘導してIL1b産生を測定する。また、責任細胞の局在やその数について、免疫染色を用いて病理組織学的な検討も行う。責任細胞とそのinflammasome活性が、炎症サイクルとどのように関連しているかを検討する。
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Causes of Carryover |
手術件数減少のため、収集できたサンプル数が予定よりも少なかったことが影響していると考えられる。次年度は、Folow Cytometryや免疫染色を行う予定であり、使用額は増えることが予想される。
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