2022 Fiscal Year Annual Research Report
人工染色体ベクターを用いた毛細血管拡張性運動失調症の遺伝子治療
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22K07845
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
香月 加奈子 鳥取大学, 染色体工学研究センター, 特命助教 (00774043)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人工染色体 / 染色体工学 / 遺伝子治療 / iPS細胞 / 再生医療 / 毛細血管拡張性運動失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト人工染色体ベクターおよび自己由来のiPS細胞を利用した、毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia-Telangiectasia: AT)の新規治療戦略の構築を目指して、今年度は以下2つの方法で、ATM-iPS細胞の樹立を検討した。 1つ目はAT患者由来の繊維芽細胞からiPS細胞誘導後、200kbのATM遺伝子を搭載した人工染色体ベクター(ATM-HAC)の導入を試みた。これまでに、AT患者由来の繊維芽細胞(GM02052株)のiPS誘導を行い、3胚葉への分化能が確認された株を2クローン取得した。iPS細胞はコロニー状に増殖するため染色体導入の効率が低いが、シングルセル培養下では効率が上昇する事が分かったので、取得したAT-iPS細胞をシングルセルでも培養可能なfeeder free培養へと順化させた。今後はそれらの細胞株を用いて、ATM-HACを微小核誘導法により導入する。 2つ目は、AT患者由来の繊維芽細胞へATM-HACを導入後、iPS細胞誘導を試みた。これまでに、AT患者由来の繊維芽細胞を不死化させたATBIVA細胞株へATM-HACを導入し、ATM遺伝子発現の修復、ATM-HACの維持と安定性、放射線感受性の回復、を示唆する結果を得ている。今年度は、AT患者由来の繊維芽細胞株(GM02052株、GM05823株)を不死化させることなくATM-HACの導入が可能かを検討した。AT患者細胞では活性酸素によるDNA損傷を修復できないことが予想されるため、低酸素条件での実験も行なった。通常の酸素(20%)下と低酸素(5%)下にて、微小核誘導法を用いてATM-HACを導入した結果、通常酸素下では1クローン、低酸素下では9クローンの細胞が取得でき、低酸素下の方が取得数が多く細胞増殖も早い事が分かった。今後は取得クローンを低酸素下にてiPS誘導しATM-iPS細胞の樹立を目指す。
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