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2022 Fiscal Year Research-status Report

Could epigenomic variation in microglia cause developmental disorders due to environmental factors?

Research Project

Project/Area Number 22K07855
Research InstitutionKindai University

Principal Investigator

駒田 致和  近畿大学, 理工学部, 講師 (90523994)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords発達障害 / ミクログリア / 脳内炎症 / 行動異常 / セロトニン
Outline of Annual Research Achievements

発達障害は胎児期の環境要因と遺伝要因が複合的に関与しており、特に、環境要因が誘発するエピゲノム変化による遺伝子発現の異常が、脳の形態形成や機能発達に影響を及ぼす。脳神経発生・発達に重要なミクログリアの機能異常は発達障害の発症に関与しているが、胎児期の環境要因曝露によるエピゲノム変化との相関については明らかになっていない。
本研究では、ミクログリアに異常を誘発する環境要因曝露モデルマウスを作成し、発達障害様の行動異常を検出する。確立した環境要因発達障害モデルマウスを用いて形態学的、機能的解析を行うとともに、ミクログリア特異的なエピゲノム変化、及び遺伝子発現の異常をin vivoとin vitro実験系を用いて検出する。これらの解析によって、ミクログリア-エピゲノム-発達障害を紐づけて発達障害の発症機序の解明を試みることで、ミクログリアの機能異常を標的とした新たな予防法の確立に寄与することが期待できる。
それに加えて、発達障害のみに留まらず、胎児期の環境因子が成熟後の健康や疾患の罹患に関与するというDOHad(Developmental Origin Health and Disease)仮説についても解析を行う。発達期の環境因子は影響が大きい場合は、先天異常などの形態学的な異常、また発達障害などの機能的異常を誘発する。しかし、こういった重度の影響がない場合でも、遺伝子発現や細胞の分化、神経回路の形成やシナプスの可塑性に影響することで、ストレス感受性などに影響することで精神疾患の発症リスクに関与している可能性がある。発生、発達期の環境因子が成熟後の個体に及ぼす影響についても解析を行う。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

妊娠中の環境要因は胎児の発育に様々な影響を及ぼすことが分かっている。環境因子は母体を介して胎児に曝露するが、本研究では脳内への作用に着目し、脳内炎症やミクログリアとの相関について解析を行った。
環境因子として、エタノール、バルプロ酸、ストレスの胎児期曝露について解析を行った。その結果、エタノールは曝露時期特異的なミクログリアへの影響が検出された。バルプロ酸は炎症は検出されなかったが、ミクログリアの分化異常が検出された。ストレス曝露については現在解析を実施中である。
これらの環境因子胎児期曝露マウスでは、様々な行動異常が検出された。特に発達障害様の行動異常に着目し、自発的活動量や社会的相互作用、活動量の明暗リズムと記憶学習への影響について評価を行った。また、活動量と社会的相互作用については、集団飼育環境下での解析も行っている。その結果、どのモデルマウスにおいても発達障害様の行動異常が検出されている。また、その一部の表現型は、抗炎症剤の並行投与によって緩和されている。さらに、セロトニンの受容体および代謝酵素の遺伝子発現に変動が見られたことから、脳内のセロトニン神経伝達が、発達障害様の行動異常に関与している可能性がある。

Strategy for Future Research Activity

次年度以降は、表現型が検出されたマウスの遺伝子発現を特に、ミクログリアや脳内炎症に関連した遺伝子に着目して解析を行う。遺伝子発現に異常が検出された場合、その原因がエピゲノム制御の攪乱にあるかどうかを、DNAのメチル化異常に着目した解析を行うことで、環境因子の胎児期曝露による発達障害の発症原因の解明に寄与する。
DNAのメチル化異常による遺伝子発現制御の異常が誘発されている場合、このメチル化の異常を抑制することで発達障害の発症を予防することができるかもしれない。メチル化異常を抑制する物質の一つとして葉酸が挙げられる。葉酸は妊娠中の摂取が推奨されている物質であり、今回確立された自閉症様行動異常を示すマウスに対して葉酸を並行投与することによる影響の解析を行う。
また表現型解析については、特に集団飼育環境下での行動異常に着目して解析を進める。発達障害の主な表現型のひとつに社会的相互作用の異常が挙げられる。しかしこれまでの解析では1対1の環境下で行われており、社会的相互作用は1対1の繰り返しではあるものの、他者からの刺激に対する応答と、自信から発する行動が存在する。自閉症をはじめとする発達障害の場合、どちらの行動にも影響がみられると考えられるが、マウスモデルにおける異常を検出する新たな実験系として確立する。

Causes of Carryover

本年度購入を計画していた行動解析に用いる画像解析アプリの導入について、デモを用いた検討、モデル動物の準備、解析項目の選定などに時間がかかり、年度内の購入ができなかったためである。
年度末から、サンプル動画を用いて実際に解析を行い、我々が意図する解析を行うことが可能であり、また更に発展した解析も行うことができることが示されたため、年度明け早急に購入手続きを行う予定である。

  • Research Products

    (7 results)

All 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Epigenetics and Neuroinflammation Associated With Neurodevelopmental Disorders: A Microglial Perspective2022

    • Author(s)
      Munekazu Komada, Yuhei Nishimura
    • Journal Title

      Front Cell Dev Biol .

      Volume: 12;10 Pages: 852752

    • DOI

      10.3389/fcell.2022.852752.

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 大脳皮質の形態形成を指標とした神経発生毒性研究 ~これまでとこれから~2022

    • Author(s)
      駒田致和
    • Journal Title

      毒性質問箱

      Volume: 24 Pages: 32-37

  • [Presentation] Poly(I:C)の胎児期曝露は大脳皮質の形態形成の異常に因る行動異常を誘発する2022

    • Author(s)
      桐山新菜、 杉山礼、 駒田致和
    • Organizer
      第62回日本先天異常学会学術集会
  • [Presentation] 胎児期のバルプロ酸曝露は脳内炎症を基軸とした自閉症様行動異常を誘発する2022

    • Author(s)
      松井拓磨、 駒田致和
    • Organizer
      第62回日本先天異常学会学術集会
  • [Presentation] 母胎の環境要因と仔の脳機能の発達のかかわりを紐解く2022

    • Author(s)
      駒田致和
    • Organizer
      第62回日本先天異常学会学術集会
    • Invited
  • [Presentation] 胎児期の社会的敗北ストレス曝露は発達障害様行動異常を誘発する2022

    • Author(s)
      駒田致和、三井優子、矢部珠生、大塚愛理
    • Organizer
      第49回日本毒性学会学術年会
  • [Presentation] Poly(I:C) の胎児期曝露は脳の形態形成の異常に因る行動異常を誘発する2022

    • Author(s)
      桐山新菜、駒田致和
    • Organizer
      第49回日本毒性学会学術年会

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Published: 2023-12-25  

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