2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory study in immunoadjuvant therapy for pediatric acute myeloid leukemia
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22K07866
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岩本 彰太郎 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (20456734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 卓也 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (30447867)
天野 敬史郎 三重大学, 医学系研究科, 助教 (80525361)
平山 雅浩 三重大学, 医学系研究科, 教授 (90293795)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小児急性骨髄性白血病 / アントラサイクリン系抗がん剤 / 細胞接着依存性薬剤耐性 / 骨髄微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病(AML)に罹患した小児患者の約3割は再発・難治例である。AMLの治療抵抗性機序として骨髄白血病微小環境で形成される細胞接着依存性薬剤耐性(CAM-DR)が知られているが、その分子機構については十分に解明されていない。本研究の目的は、in vitroヒトAML-骨髄微小環境モデルを用いて、AML治療のキードラッグであるアントラサイクリン系抗がん剤(AAD)に対する AML細胞のCAM-DR克服のためにNFkB 活性化シグナルに着目した免疫アジュバントの探索的研究にある。 本年度は以下の実験結果を得た。 【AML細胞株の骨髄間質細胞(BMSC)共培養下でのAAD耐性化とNFkB阻害剤の効果の検討】AML細胞株の抗がん剤(ミトキサントロン使用)に対するLC50の決定とBMSC共培養下でのCAM-DR獲得評価:AML細胞株毎に抗がん剤のLC50を決定後、BMSC共培養下でAML細胞株のCAM-DR獲得を殺細胞比率(FACS)で評価。すべての細胞株がCAM-DRを獲得していた。 【NFkB阻害剤(SN50及びEmetine)による両細胞群共培養下での抗がん剤に対するCAM-DR克服効果の検討】NFkB阻害剤を用いた共培養実験で、AML細胞株(U937, NB4)のCAM-DR阻害効果をFACSで確認した。 【AML細胞株およびBMSCに対するAZM/テアニンの細胞死誘導の有無の検討】AZM(アジスロマイシン)/テアニンを、AML細胞株及びBMSCそれぞれの細胞培養系で、ヒト到達可能濃度まで段階的濃度で添加し、各細胞株への影響をFACSにて評価。すべての細胞株で、両薬剤単独あるいは混合で各々ヒト到達最高濃度まで添加しても細胞死を認めなかった。このことから、本薬剤の抗がん剤へのアジュバンド効果を検討する妥当性とその濃度を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、「(1)AML細胞株のBMSC共培養下でのAAD耐性化とNFkBシグナルを含む分子生物学的変化に関する検討」として、 ①AML細胞株の抗がん剤(ドキソルビシンとミトキサントロン)に対するLC50の決定とBMSC共培養下でのCAM-DR獲得評価:AML細胞株毎に各抗がん剤に対するLC50を決定後、BMSC共培養下でのAML細胞株を増やし、薬剤別CAM-DR獲得を殺細胞比率(FACS)で評価。「(2)NFkB阻害剤による両細胞群共培養下での抗がん剤に対するCAM-DR克服効果の検討」を昨年同様に検討。「(3)両細胞群共培養下での抗がん剤に対するAZM/テアニンのアジュバント効果の検討」として、各試薬(AZM/テアニン)の臨床的ヒト到達可能濃度を上限に、タイムコースにも配慮した様々な組み合わせで両細胞群共培養(直接接着実験)下に添加し、AML細胞株毎の抗がん剤に対する影響について評価。 以上を予定していた。(1)の①および(2)については、AML細胞株と抗がん剤の種類を増やして実験を行い目的を達成することができた。また、「(3)両細胞群共培養下での抗がん剤に対するAZM/テアニンのアジュバント効果の検討」として、各試薬(AZM/テアニン)の臨床的ヒト到達可能濃度を上限に、タイムコースにも配慮した様々な組み合わせで両細胞群共培養(直接接着実験)下に添加し、AML細胞株およびBMSCに対する影響がないことまで確認ができた。この点については、仮説通りの結果となった。 しかし、これらの実験系の安定した結果に時間を要し、抗がん剤のAZM/テアニンのアジュバント効果について検討することはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、まず本研究計画の「(3)両細胞群共培養下での抗がん剤に対するAZM/テアニンのアジュバント効果の検討」として、AZM/テアニンの臨床的ヒト到達可能濃度を上限に、タイムコースにも配慮した様々な組み合わせで両細胞群共培養下に添加し、AML細胞株毎の抗がん剤に対する影響を評価する。これまでの成果と合わせ、仮説通りCAM-DR克服に向けた免疫アジュバンド効果が得られる実験系が確立されれば、その分製生物学的機序の解明へと研究を進める。すなわち、本年度実施予定で遂行できなかった、「(1)②共培養下での両細胞群(AML細胞株とBMSC)の分子生物学的変化に関する評価」について取り組む。具体的には、両細胞群各々の単独培養と両細胞群の共培養下での各細胞株の分子生物学的特徴を、抗がん剤添加前後で以下の内容を評価。AML細胞株では、細胞周期及びSP分画(FACS)、接着関連分子(TaqManリアルタイム-PCR、FACS)、アポトーシス関連を含む細胞内シグナル分子(WB及びNFkB Family Kit)を検討。BMSCでは、インテグリン結合接着分子、細胞外マトリックス、ケモカイン、NFkBシグナル動態(RT-PCR、WB及びNFkB Family Kit)を検討。多剤排出トランスポーター(ATP Binding Cassette transporters)の機能評価は、直接接着実験により発現変化を認めた分子について、既存の阻害試薬を用いて検討。更に、直接接着実験では、BMSCと強接着するAML細胞においてCAM-DR獲得比率が高いことが推測されることから、AML細胞を弱接着細胞群および強接着細胞群の2群で解析する。これらの結果に基づき、最終的には「(4)小児AML患者細胞のBMSC共培養下での抗がん剤に対するAZM/テアニンのアジュバント効果の検討」を行う。
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Causes of Carryover |
今年度、「(1)②共培養下での両細胞群(AML細胞株とBMSC)の分子生物学的変化に関する評価」について評価できなかったため、当初の計画より少なく済んだため。 来年度には、以下の内容を次年度予算として使用する予定である。具体的には、両細胞群各々の単独培養と両細胞群の共培養下での各細胞株の分子生物学的特徴を、抗がん剤添加前後で以下の内容を評価する。すなわち、AML細胞株では、細胞周期及びSP分画(FACS)、接着関連分子(TaqManリアルタイム-PCR、FACS)、アポトーシス関連を含む細胞内シグナル分子(WB及びNFkB Family Kit)について、BMSCでは、インテグリン結合接着分子、細胞外マトリックス、ケモカイン、NFkBシグナル動態(RT-PCR、WB及びNFkB Family Kit)について検討する。
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