2023 Fiscal Year Research-status Report
Cooperation of neural crest cells, macrophages, and vascular endothelial cells during cardiac development.
Project/Area Number |
22K07877
|
Research Institution | Yamazaki University of Animal Nursing |
Principal Investigator |
富田 幸子 ヤマザキ動物看護大学, 動物看護学部, 教授 (40231451)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 裕基 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (20221947)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 心臓 / 神経堤細胞 / 発生 / マクロファージ / 弁 / リンパ管 / 脈管 |
Outline of Annual Research Achievements |
発生初期に出現する神経堤細胞をニワトリ胚、またはウズラ胚で焼灼除去すると心臓奇形の1つである動脈幹遺残を作出できる。心臓奇形を生ずる心臓神経堤postoticとその前方に位置する神経堤preoticはそれぞれ心臓形成に対する役割が異なり、後者のpreotic神経堤は特に心臓冠血管形成に関与する。マウスWnt1-Cre;R26R-EYFP胎仔で神経堤細胞とマクロファージマーカーF/80を使って検討したところ、神経堤細胞分布の豊富な部位にマクロファージ分布を認めた。しかし、Wnt1-系譜神経堤細胞はマクロファージマーカーを発現しないことから、神経堤細胞は心臓マクロファージには分化しないと考えられる。ニワトリ胚でpreotic、postotic両方の神経堤を切除すると心臓奇形と同時に流出路周辺の冠血管とリンパ管に異常を認め、流出路マクロファージKUL01数が激減した。しかし、preotic神経堤を切除すると頸部形態の異常はあるもののマクロファージ数は変化なかった。これはpostotic神経堤による代償作用と考えられる。マクロファージ分化と分布に神経堤細胞が関与するかどうかをマウスWnt1-Cre;R26R-EYFP心臓の神経堤を使って、scRNA-seq、scATAC-seq分析したところ、神経堤細胞の一部がCsf1やCcl2などのマクロファージ誘導因子を発現していた。10xVisiumを用いて遺伝子プロファイルと空間トランスクリプトーム解析したところ、半月弁間質細胞部分にSall3転写因子クラスターを認めた。これらのことから、神経堤由来弁間質細胞は流出路の遠位クッションでCsf1とCcl2のようなマクロファージ産生因子を分泌することによって、造血心内膜細胞からのマクロファージ分化とその後のコロニー形成を刺激し、半月弁形成に寄与する可能性があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目でおおよその結果を予測できるようになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度のため論文執筆に必要なデータの集積とまとめを実施する。
|
-
[Journal Article] Coronary artery established through amniote evolution.2023
Author(s)
Kaoru Mizukami, Hiroki Higashiyama*, Yuichiro Arima, Koji Ando, Norihiro Okada, Katsumi Kose, Shigehito Yamada, Jun K Takeuchi, Kazuko Koshiba-Takeuchi,Shigetomo Fukuhara, Sachiko Miyagawa-Tomita, Hiroki Kurihara
-
Journal Title
eLife
Volume: 12
Pages: e83005
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
[Presentation] シングルセルマルチオミクス及び空間発現情報に基づく心臓神経堤細胞の分化運命決定機構解析2023
Author(s)
岩瀬晃康,内島泰信,瀬谷大貴,来田真友子,東山大毅,松居一悠,田口明糸,山本尚吾,福田史朗,野村征太郎,興梠貴英,宿南知佐,秋山治彦,関真秀,鈴木穣,和田洋一郎,油谷浩幸,栗原由紀子,宮川-富田幸子,栗原裕基
Organizer
第128回日本解剖学会総会・全国学術集会
Invited
-
[Presentation] シングルセルマルチオミクスと空間情報に基づく心臓神経堤細胞の血管/非血管細胞への分化運命決定機構~発生学的起源から病態を考える~2023
Author(s)
岩瀬晃康,内島泰信,瀬谷大貴,来田真友子,野村征太郎,興梠貴英,宿南知佐,秋山治彦,関真秀,鈴木穣,和田洋一郎,油谷浩幸,栗原由紀子,宮川,富田幸子,栗原裕基
Organizer
第55回日本動脈硬化学会
Invited
-
[Presentation] シングルセルマルチオミクスを用いた多細胞連関による心血管 システム構築2023
Author(s)
岩瀬晃康,内島泰信,瀬谷大貴,来田真友子,東山大毅,松居一悠,田口明糸,山本尚吾,福田史朗,野村征太郎,興梠貴英,宿南知佐,秋山治彦,関真秀,鈴木穣,和田洋一郎,油谷浩幸,栗原由紀子,宮川-富田幸子,栗原裕基
Organizer
第96回日本生化学会大会
Invited
-
-
[Presentation] シングルセルマルチオミクスを用いた心血管発生学と病態形成の共通性2023
Author(s)
岩瀬 晃康, 内島 泰信, 瀬谷 大貴, 来田 真友子, 東山 大毅, 松居 一悠, 田口 明糸, 山本 尚吾, 福田 史朗, 野村 征太郎, 興梠 貴英, 宿南 知佐, 秋山 治彦, 関 真秀, 鈴木 穣, 和田 洋一郎, 油谷 浩幸,栗原 由紀子, 宮川-富田 幸子, 栗原 裕基
Organizer
第46回日本分子生物学会年会
-
-
-
[Presentation] 縦隔内マクロファージの多様性を生み出す分化制御機構の解析2023
Author(s)
岩瀬晃康,来田真友子,内島泰信,田口明糸,加藤洋人,関真秀,石川俊平,鈴木穣,和田洋一郎,栗原由紀子,宮川-富田幸子,栗原裕基
Organizer
2023年度「先進ゲノム支援」拡大班会議