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2022 Fiscal Year Research-status Report

Developments of comprehensive diagnosis and analysis systems for disorders of ketone body metabolism

Research Project

Project/Area Number 22K07889
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

笹井 英雄  岐阜大学, 大学院医学系研究科 小児希少難病早期診断・予防医学講座, 特任准教授 (20509781)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords先天代謝異常症 / ケトン体代謝異常症 / マルチオミックス解析
Outline of Annual Research Achievements

小児の日常診療では血中ケトン体が上昇するケトーシスに遭遇する機会は多く、その中には時に重篤な代謝発作をきたしうるケトン体代謝異常症が潜んでいる。その確定診断のためには遺伝子解析や酵素活性測定がもちろん重要ではあるが、従来型の検査法では診断が不可能であるケトン体代謝異常症の未診断症例は多く存在している。それらの症例に対し、本研究では網羅的遺伝子解析やマルチオミックス解析を組み合わせた診断アプローチ法を新規開発し、従来の検査法と連携して「ケトン体代謝異常症に対する包括的診断・解析システムの構築」をめざしている。
令和4年度は先行研究に続いて、全国からケトン体代謝異常症が疑われる症例の相談や遺伝子解析依頼を継続して受け付け、AMED研究班と連携して遺伝子パネル解析による網羅的な遺伝子解析を19例に実施し、一部の症例で確定診断につなげた。(遺伝子パネル解析でバリアントが未同定である場合や、1アレルにしかバリアントがみつからなかった例に関しては、RNAシークエンスを用いたトランスクリプトーム解析を組み合わせることで、DNAのみによる従来の遺伝子検査では同定が困難であったスプライス異常等の解析も可能となった。)
また、βケトチオラーゼ欠損症やSCOT欠損症が疑われる症例に対しては、リンパ球や皮膚線維芽細胞を用いた酵素活性測定による機能解析を7例実施し、酵素タンパクとしての機能評価を実施した。さらに、HMG-CoA合成酵素欠損症例でみつかった新規バリアントに関しては、大腸菌を用いた変異タンパク精製による機能解析の追加で病態解析を進めた。これらの多角的なアプローチでケトン体代謝異常症に対する病態解析を進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和4年度:
1. ケトン体代謝異常症に対する従来の診断システムの維持:申請者の教室では全国からケトン体代謝異常症の症例相談や遺伝子解析依頼を継続して請け負ってきているが、 ケトン体代謝異常症に対する遺伝子パネルを用いた解析(AMED研究班と連携)により、国内のケトン体代謝異常症に対する従来の診断システムの窓口としての役割を維持・継続している。令和4年度は19例の解析を受け付けた。
2. 未解決事例の網羅的遺伝子解析:ケトン体代謝異常症の存在が疑われる未診断例に対する網羅的遺伝子解析を実施することで、未解決事例の確定診断を目指した。令和4年度は次世代シークエンサーによる遺伝子パネル解析がメインとなったが、それらの中の未解決例をまとめており、エクソーム解析等を追加していく予定である。
3. in vitro解析による評価の追加:申請者の教室ではβケトチオラーゼ欠損症やSCOT欠損症に関しては患児の線維芽細胞やリンパ球を用いたイムノブロッティングや酵素活性測定法が以前から確立している。また、HMG-CoA合成酵素欠損症に関しては当教室で大腸菌を用いたタンパク精製やアセトアセチルCoAを用いた吸光度変化測定による活性測定系が確立している。これらの手法を用いた解析を組み合わせて、症例の病態解析を進めることができた。
4. マルチオミックス解析:これまでの未解決事例や新規の診断例に対して、マルチオミックス解析を試みている。令和4年度は主にRNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析を実施し、DNAのみによる従来の遺伝子解析では評価が困難なケトン体代謝異常症例に対しての有効性を確かめることができた。

Strategy for Future Research Activity

令和5年度以降:
これまでのケトン体代謝異常症に対する診断システムの維持をしながら、遺伝子解析やin vitro解析による評価を継続し、症例数を蓄積していく。同時に、マルチオミックス解析においてはプロテオーム解析の追加により、遺伝子解析だけでは同定が困難なケトン体代謝異常症の診断を試みていく予定である。
さらに、患者レジストリー、未診断症例の全国調査も準備し、確定診断例に関してはAMED研究班で構築中の難病プラットフォームを用いた先天代謝異常症レジストリシステムに遺伝子情報と一緒に登録し、その後も経年的なフォローを行って情報を蓄積していくことで、個別疾患における遺伝子型と表現型の相関やより詳細な自然歴の解明につなげていくことを目指す。
また、国内に多く存在していると想定されるケトン体代謝異常症の未診断症例の診断のため、申請者が参加している先天代謝異常症の複数の研究班を通じて、先天代謝異常症の専門家に呼びかけることで全国調査の実施も予定していく。

Causes of Carryover

主な理由としては、新型コロナウイルスの影響により国内・国外とも学会・出張がWebによる開催形式のものが多く、旅費の残余が生じたことが挙げられる。また、令和4年度に関しては人件費・謝金が発生する研究においては予算を使用せずに進めることができた。しかし、引き続き令和5年度に多くのin vitroの実験が必要となっているため、解析試薬、人件費等は次年度使用額として計上した。

  • Research Products

    (7 results)

All 2023 2022

All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results) Book (3 results)

  • [Journal Article] The frequencies of very long-chain acyl-CoA dehydrogenase deficiency genetic variants in Japan have changed since the implementation of expanded newborn screening2022

    • Author(s)
      Osawa Yoshimitsu、Kobayashi Hironori、Tajima Go、Hara Keiichi、Yamada Kenji、Fukuda Seiji、Hasegawa Yuki、Aisaki Junko、Yuasa Miori、Hata Ikue、Okada Satoshi、Shigematsu Yosuke、Sasai Hideo、Fukao Toshiyuki、Takizawa Takumi、Yamaguchi Seiji、Taketani Takeshi
    • Journal Title

      Molecular Genetics and Metabolism

      Volume: 136 Pages: 74~79

    • DOI

      10.1016/j.ymgme.2022.03.009

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Clinical manifestation and long‐term outcome of citrin deficiency: Report from a nationwide study in Japan2022

    • Author(s)
      Kido Jun、Haberle Johannes、Sugawara Keishin、Tanaka Toju、Nagao Masayoshi、Sawada Takaaki、Wada Yoichi、Numakura Chikahiko、Murayama Kei、Watanabe Yoriko、Kojima‐Ishii Kanako、Sasai Hideo、Kosugiyama Kiyotaka、Nakamura Kimitoshi
    • Journal Title

      Journal of Inherited Metabolic Disease

      Volume: 45 Pages: 431~444

    • DOI

      10.1002/jimd.12483

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] 様々なスクリーニング対象疾患の診断における遺伝学的検査の有用性2023

    • Author(s)
      笹井 英雄
    • Organizer
      日本小児遺伝学会学術集会(第45回)
    • Invited
  • [Presentation] 岐阜県における追加新生児マススクリーニングの現状2022

    • Author(s)
      笹井 英雄, 森 真以, 松本 英樹, 堀 友博, 久保田 一生, 折居 建治, 下澤 伸行, 鈴木 康之, 小川 恵, 大西 秀典
    • Organizer
      日本小児科学会学術集会(第125回)
  • [Book] 外来で見つける先天代謝異常症 シマウマ診断の勧め(窪田満 編) 「遺伝子診断」2023

    • Author(s)
      笹井 英雄
    • Total Pages
      7
    • Publisher
      中山書店
    • ISBN
      9784521749242
  • [Book] 外来で見つける先天代謝異常症 シマウマ診断の勧め(窪田満 編) 「岐阜大学大学院医学系研究科小児科学教室」2023

    • Author(s)
      笹井 英雄
    • Total Pages
      2
    • Publisher
      中山書店
    • ISBN
      9784521749242
  • [Book] 小児疾患診療のための病態生理3 改訂第6版(小児内科, 小児外科 編集委員会共編) 「ケトン体代謝異常症」2022

    • Author(s)
      笹井 英雄
    • Total Pages
      7
    • Publisher
      東京医学社

URL: 

Published: 2023-12-25  

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