2022 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性輸血副反応発症機序の全貌解明を目指した患者因子ならびに製剤因子の解析
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22K07910
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柳沢 龍 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 准教授 (80532043)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アレルギー性輸血副反応 / Ⅰ型アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
輸血療法は重要な支持療法であるものの、様々な副反応が発生しうることが課題である。副反応の中でもアレルギー性輸血副反応(ATR)は、特に発症頻度が高く、また重篤な症状を呈する可能性がある。ATRの発症機序はまだ完全には明らかにはされていないものの、①患者側因子と②血液製剤側(またはドナー側)因子の双方の条件がそろうことで発症すると考えられている。さらに我々は、食物アレルギーや花粉症等のアレルギー素因を保有している症例においてはATRの発症頻度が高いことや、ATRの原因製剤によって患者の好塩基球が活性化していること等をこれまで報告してきた。これらは、ATRがIgEを介するⅠ型アレルギーによって発症している可能性を示す結果と考えられる。そこで本研究はATRの発症に関連しうる患者側、製剤側双方の因子を更に明らかとすることにより、ATR発症機序の全貌を明らかとし、より安全な輸血療法を目指すことを目的とした。 該当年度においては、ATRの発症例のアレルギー歴を確認するとともに、原因製剤と患者末梢血を用いた好塩基球活性化試験(BAT)を実施した。また、必要に応じてアレルゲン特異的IgEの精査を追加することとした。その結果、必ずしも明確なアレルギー歴や素因を保有していない症例であっても原因製剤により好塩基球の活性化が認められる症例も確認された。こうした症例においては未知のアレルゲンに対する感作が先行して成立している可能性が示唆された。一方で、ATR発症例の全てでBATの陽性が確認できたわけではないため、ATR発症については別の機序の有無についても確認が必要と考えられた。製剤側因子の検討としては血液製剤中に含有されている食物抗原に着目した。該当する食物由来抗原を検出するためELISA法やイムノクロマト法を用いて検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BATをはじめとする基本的な実験手技については既に確立できていたことから、順調に検討をすすめられている状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き検討をすすめていくが、次年度は特に製剤側因子の解析を中心に実施したい。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は令和5年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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