2023 Fiscal Year Research-status Report
メタゲノム解析とオミクス解析を用いたFontan術後蛋白漏出性胃腸症の病態解明
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22K07912
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
郷 清貴 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (40908779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 太一 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (20422777)
山本 英範 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80801662)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 蛋白漏出性胃腸症 / 腸内細菌叢 / Fontan手術 / 単心室症 / メタゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fontan術後に発症するPLEはしばしば治療抵抗性で予後不良であるが、発症や活動性を予測するバイオマーカーは開発されていない。本研究はFontan術後PLE患者とPLE未発症患者の腸内細菌叢を、16S rRNAを標的とした次世代シークエンスにより網羅的に解析して比較した。その上で細菌叢の多様性や特定菌種の存在量の変動がPLEの発症や活動性と関連するか検討した。研究同意を得られたPLE患者17例(活動性PLE群:8例、寛解期PLE群:9例)、対照群:20例を対象とした。便サンプルから細菌DNAを抽出した後、16S rRNA領域のPCR増幅を行い、次世代シークエンンサーMiseqを用いて配列データを得た。配列データを得た後の細菌叢に関する一連の解析を、QIIME2パイプラインにより行った。 α多様性の指標Chao1、Shannon index、Faith’s PD indexは活動性PLE群において寛解期PLE群と対照群に比し有意に低く、活動性PLEにおける細菌叢の多様性低下が示唆された。Unweghited Unifrac距離は、活動性PLE-寛解期PLE群間と活動性PLE-対照群間(q<0.01)に有意差を認め、活動性PLE群の細菌叢構成は他の2群と異なることが示された。Linear discriminant analysis effect size (LEfSe)解析では、活動性PLE群では寛解期PLE群に比べBifidobacterium属、Ruminococcus torques属の相対存在量が少なく、Granulicatella属の相対存在量が多かった。 ここまでの本研究の成果について、学会での報告および国際学術誌での論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、すでに学内での倫理審査を終えていたこともあり比較的速やかに対象患者の便検体および臨床情報の収集を開始することができた。便検体からのDNA抽出、次世代シークエンスの過程は問題なく施行できた。解析結果は概ね仮説通りであり、これまでの研究成果を国際学術誌に論文発表できたことから本課題2年度としては概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに症例を蓄積し、複雑なPLEの病態と腸内細菌叢の変容との関連をより詳細に検討したいと考えている。同時に、現在マウスに下大静脈の部分結紮術を行い、Fontan術後の中心静脈圧上昇を再現したモデル作成を行っている。患者糞便やPLEの活動性への関与が疑われる細菌種を同モデルに投与することでPLEを発症または増悪するかの検証を予定している。これにより、特定の細菌叢構成や菌種が実際にPLE発症や増悪に関与するかを検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は研究参加者からの便検体の収集および細菌叢のDNA抽出、次世代シークエンスに必要な経費として採便キット、DNA抽出・調製試薬、シークエンサー試薬およびシークエンサー機器使用料を計上していた。前年度に検体の提出が集中したため本年度の検体数が当初の予定より少なく、これらに対する支出額が減少した。次年度には再度検体数が増加し、動物モデルでも同様の細菌叢検査を行うため、採便キット、DNA抽出・調製試薬、シークエンサー試薬およびシークエンサー機器使用料を次年度使用額として計上する。
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