2022 Fiscal Year Research-status Report
αアクチニン3欠損はDMD患者のiPS由来心筋細胞においてタイチン分解を促進する
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22K07913
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
粟野 宏之 鳥取大学, 研究推進機構, 教授 (30437470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青井 貴之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (00546997)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Duchenne型筋ジストロフィー / 心筋細胞 / αアクチニン3 / タイチン / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は末梢単核球由来細胞からiPS細胞を樹立、iPS細胞の心筋細胞への分化について実験を行った。 初めに、iPS細胞樹立から心筋分化のプロトコールの決定のため、健常人サンプルを用いて実験を行った。健常人の末梢血単核球に、センダイウイルスベクターを用いて4因子(Klf-4, Oct3/4, Sox2, C-myc)を導入し培養を行った。マーカー遺伝子の発現の確認を行い、iPS細胞を樹立できることを確認した。次に、樹立したiPS細胞から心筋細胞へ分化の検討を行った。当初は、心筋の成熟マーカーの発現が弱い心筋細胞のみ得られ、成熟度が高い心筋細胞を得ることが困難であった。また、結合組織や血管細胞と思われる心筋以外の細胞も発生する問題があった。そのため、培地の選択、培養液の組成や培養条件の組み合わせについて何度も検討を行ったところ、成熟マーカーの発現があり、拍動が確認される成熟心筋細胞を得れた。これによりiPS細胞から心筋細胞への分化プロトコールの決定ができた。 次に、Duchenne型筋ジストロフィーの患者3名から末梢血を採取した。3名の内訳は、αアクチニン3欠損患者が1名、非欠損患者が2名である。このうち、αアクチニン3非欠損患者1名においてiPS細胞のマーカー遺伝子の発現や三胚葉分化について評価が終了し、iPS細胞を樹立している。もう一人の非欠損患者については、マーカーや分化の確認を行っている。欠損患者は現在細胞の培養中である。iPS細胞を樹立した患者では、決定した分化プロトコールを用い心筋細胞に分化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞から心筋細胞への分化の検討において、当初は成熟度が高い心筋細胞を得ることが困難であった。また心筋細胞に加え、心筋以外の細胞も発生することが問題であった。このような成熟度と精製の問題について、培地や培養液の選択、培養条件の調整をおこない。現在までに心筋分化のプロトコールを決定した。 プロトコール決定に時間を要したため、患者iPS細胞由来心筋細胞作成が現在1名のみであるが、今後は決定したプロトコールをもとに心筋細胞の作成を進め、αアクチニン3欠損と非欠損の細胞の比較評価を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した心筋細胞の形態的、機能的な評価方法の経験が少ないため、経験のある研究者にアドバイスや協力をもとめ進める。申請者は、研究期間中に所属機関を異動したことから、元の所属機関および新しい所属機関の二つの研究機関でのコラボレーションが見込める。
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Causes of Carryover |
代表研究者が年度途中(2022年12月)に所属が異動となり、異動前後は研究を効率的に進めるのが困難な状況であったため、当初に予定していた使用額に残金が生じた。しかし残金は生じたものの、研究進捗の状況はおおむね予定通りであった。今年度生じた残金を利用して、解析委託や研究内容にもっとも適した消耗品を選択する予定である。
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