2022 Fiscal Year Research-status Report
霊長類の脳発達における腸内細菌叢の影響 -無菌マーモセットの発達期MRI計測-
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22K07925
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
井上 貴史 公益財団法人実験動物中央研究所, マーモセット医学生物学研究部, 室長 (60465937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 布美子 公益財団法人実験動物中央研究所, ライブイメージングセンター, 主任 (40771407)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 無菌動物 / マーモセット / 脳発達 / 霊長類 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌叢の存在が脳の発達に影響を及ぼすことが無菌マウスを用いた研究により実証されており、”腸内細菌-腸-脳相関”として注目されている。しかし、これらのげっ歯類での研究成果がヒトに外挿できるかどうかは定かではなく、脳の形態・機能がヒトに類似した霊長類の実験動物における検証が不可欠である。そこで、本研究では、霊長類の脳発達において腸内細菌叢の及ぼす影響の一端を明らかにすることを目的として、1)無菌マーモセット生体を無菌状態を維持したままでMRI撮像できる技術を確立し、2)無菌マーモセットおよび腸内細菌叢を有するマーモセット発達期の脳のMRI計測を行い、その経時的変化を比較解析することを計画している。 2022年度は、1)無菌マーモセット生体を無菌状態を維持したままでMRI撮像できる技術について検討を進めた。MRI撮像中は動物の麻酔管理が必須となることから、フィルター滅菌した麻酔ガス吸入と生体モニターによる麻酔管理が可能でMRI装置にフィットした動物を容れる密閉容器を検討し、専用のビニールパックを考案した。それを用いて、①無菌動物のビニールアイソレータ(VI)内での麻酔導入、気管挿管、②動物のパッキングと麻酔管理、VI外へのビニールパックの搬出、③パッキング状態でのMRI撮像、④VI内の無菌環境を維持しながらのVI内への動物の再搬入、までの一連の作業手順の検討を行って技術確立を進めた。2023年度は本技術を実用して無菌マーモセットの脳MRI計測を実施し、解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無菌マーモセット生体を無菌状態を維持したままでMRI撮像できる技術の検討において、当初は動物を容れる密閉容器として樹脂製のホルダーの製作を進めていたが、条件を満たすホルダーの設計が困難であった。そのため、ビニールパックを用いることに計画の変更を行なったため、予定より進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
無菌状態を維持したMRI撮像の方法はこれまでに報告がなく困難な技術課題であるが、手技を確立しつつある。脳MRI画像の解析手法の準備は順調であることから、本方法が確立され次第、無菌マーモセットの脳MRI計測を実施し、無菌マーモセットにおける脳発達の特徴の解析に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
計画では、備品として無菌動物用MRIホルダー150万円を計上していたが、条件を満たすホルダーの設計が困難であったため購入せず、代替となる専用のディスポーザブルのビニールパック27万円/5枚を購入した。また、進捗がやや遅れており、MRI撮影に使用する器材の購入や成果発表のための旅費を次年度に持ち越すこととした。
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