2023 Fiscal Year Research-status Report
IL-1受容体・トール様受容体シグナルを制御するインフルエンザ脳症の新規治療探索
Project/Area Number |
22K07935
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
津下 充 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (80625004)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚原 宏一 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90207340)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | インフルエンザ脳症 / 血管透過性 / 脳血管内皮細胞 / 自然免疫 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトTHP-1株化細胞から分化誘導させたM1型マクロファージを単層培養し、インフルエンザA(H3N2)型をMOI 1で感染させた。24時間後における細胞死・細胞変性効果を認め、インフルエンザNP抗原を免疫染色し感染を確認した。上清中のTNFーα、IL-6の有意な増加を認め、デキサメタゾン(DEX)1μM添加によって有意にサイトカイン産生が抑制された。また、抗インフルエンザウイルス剤であるバロキサビル(10nM)で有意にサイトカイン産生が抑制された。抗IL-1R/IL-18R/TLR-4抗体の存在下ではサイトカイン産生は抑制されなかった。ヒト脳血管内皮細胞に対する上記のM1マクロファージの培養上清刺激によって、脳血管内皮細胞の紡錘化・細胞間隙の開大・血管透過性亢進を確認した。DEXやバロキサビルによる血管透過性亢進の抑制効果は認めたが、IL-1R受容体抗体・IL-18受容体抗体・TLR4抗体による透過性亢進の有意な抑制効果は得られなかった。小児熱性けいれん重積既往患者の末梢血単核球を用いた分化マクロファージ解析は協力可能対象患者が少ないため、上記のTHP-1細胞分化M1マクロファージでの検討に変更した。 小児の熱性けいれん重積患者とインフルエンザ脳症を含む急性脳症患者における自然免疫応答の比較を行うため、多施設共同研究を開始し急性期の全血と血清検体を採取した。全血か中の自然免疫応答に関連した遺伝子発現解析を行なった。急性脳症群では宿主の自然免疫応答に関連する複数の遺伝子発現が非脳症群に比べて有意な変化を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
条件設定のためヒトTHP-1細胞から分化させたM1マクロファージを用いてインフルエンザ感染とともにIL-1R受容体抗体・IL-18受容体抗体・TLR4抗体の添加による抑制効果を検証したが、明らかな抑制効果が得られなかった。小児熱性けいれん重積既往患者の末梢血単核球採取は対象患者が少ないため、上記のTHP-1細胞分化M1マクロファージでの検討、臨床検体(急性期の全血・血清検体)を用いた臨床研究に変更して現在研究を進めることができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒト脳血管内皮細胞とM1マクロファージの共培養システムによる、インフルエンザ感染における血管透過性亢進の評価をタイトジャンクション分子に注目して進めていく。IL-1R受容体抗体・IL-18受容体抗体・TLR4抗体の抑制効果は認められなかったが、これらの分子の遺伝子発現について検討する。他の薬剤についても同様の方法で評価し、並行してインフルエンザ脳症モデルマウスの作成・実験を引き続き進めていく。熱性けいれん重積・急性脳症の急性期検体を用いた臨床研究は概ね解析が終了しており、今後は学会報告・論文報告を進めていく。
|
Causes of Carryover |
多種類サイトカイン測定用のBioplexサイトカイン測定試薬の購入が遅れたため次年度での購入を予定している。遺伝子発現解析試薬・イムノブロット関連試薬は研究室の在庫試薬から使用開始しており、次年度に新たな試薬購入を予定している。次年度は論文投稿・学会発表を予定している。
|
Research Products
(5 results)