2022 Fiscal Year Research-status Report
CD4+CD28-T細胞を標的としたステロイド抵抗性慢性GVHDの治療開発
Project/Area Number |
22K07937
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
浜田 聡 琉球大学, 病院, 講師 (00510083)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 浩一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50336880)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ステロイド抵抗性慢性移植片対宿主病 / CD4+CD28null T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性血液疾患患者に対する同種造血細胞移植後の生存者の約30-70%は、慢性移植片対宿主病(graft versus-host disease: GVHD)を合併し、その約半数はステロイド抵抗性である。その標準的治療は確立されておらず長期の免疫抑制剤強化に伴う感染症合併による非再発死亡率は約20%におよぶ重要な移植後合併症である。慢性GVHDは多臓器におよぶ自己免疫様症候群であり、病態の詳細は不明である。CD4+CD28nullT細胞は、慢性炎症および自己免疫疾患の病態に関与し、ステロイドや免疫抑制剤であるカルシニューリン阻害剤に抵抗性を示す自己応答性エフェクターT細胞である。同細胞は持続的な抗原刺激によりCD28分子を喪失し、OX40分子を発現することで抗アポトーシス蛋白(Bcl-2, Bcl-xL)を誘導することで、ステロイド抵抗性の免疫学的フェノタイプを獲得し、さらにNKG2D分子を発現することで強力な炎症性エフェクターT細胞となることが知られている。そこで慢性GVHD患者の検体を用いてCD4+CD28nullT細胞のフェノタイプ解析を行った。まずはフローサイトメトリーによる同細胞のフェノタイプを解析するためのパネルの条件設定を行い、数症例の患者検体の解析をおこなったところ、慢性GVHD患者と慢性GVHD未発症患者の末梢血中NKG2D+CD4+T細胞を比較すると、慢性GVHD患者において増加がみられ、さらにIFN-g/TNFa産生の増加を認めた。また慢性GVHD未発症患者および発症患者の両者において、同細胞はCD28発現低下による代替副刺激分子の発現誘導を示すが、慢性GVHD発症患者では未発症と比較して4-1BB分子発現およびNKG2D分子発現の著増を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CD4+CD28null T細胞における補助刺激分子および炎症性サイトカイン発現をみるためのフローサイトメトリー解析における条件設定を終えており、今後は検体を順次、解析を進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
CD4+CD28null T細胞のフェノタイプ解析を終了後、同時期に採取した血清検体を用いて、同細胞の持続刺激に関与することが推定されているサイトメガロウイルスDNAの定量PCRを進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度で作成したフローサイトメトリーのパネル条件にて、凍結検体を用いて解析するために必要なフローサイトメトリー抗体およびフローサイトメトリー消耗品、また凍結血清検体を用いたサイトメガロウイルスDNAをリアルタイムPCRにて定量解析するために必要な試薬購入に必要である。
|