2023 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢の乱れに着目した小児微小変化型ネフローゼ症候群の病因解明と治療法の開発
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22K07947
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
辻 章志 関西医科大学, 医学部, 准教授 (00360256)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 尿毒素 / 腸腎連関 / PAN腎症ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期に比較的多い腎疾患である「微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)」の病因は未だに不明である。 近年、慢性腎臓病(CKD)の進展メカニズムの一つとして腸内細菌叢の乱れ(gut dysbiosis)が注目されている(腸腎連関)。そして、特発性ネフローゼ症候群(INS)においても、腸腎連関の病態への関与が示唆されている(Tsuji, S, et al. Am J Nephrol, 2018;He H, et al. Biomed Res Int, 2021, etc)。 腸腎連関のメディエータの一つとして、腸内細菌の産生する尿毒素(インドキシル硫酸など)が知られている。報告者らは、令和4年度中にラットにピューロマイシン(puromycin aminonucleoside: PAN)を投与して作成した実験的ネフローゼ症候群(PAN腎症)において抗菌薬が尿毒素産生菌を減少させて抗タンパク尿効果を発揮する可能性を確認できた。 球形炭素微粒体からなる経口吸着薬AST120(クレメジンTM)はCKDの進行抑制を目的として広く臨床で用いられているが、MCNSにおける抗タンパク尿効果についての報告はない。 そこで、令和5年度は前年度に引き続き抗菌薬の代わりにPAN腎症ラットに経口吸着薬AST-120を使用することで抗タンパク尿効果が認められるか否かを明らかにすることを目的として研究を続けた。研究の結果、AST120を事前にラットに投与した後にPANを投与した場合はAST120の代わりにPBSを投与したラットと比較して統計学的に有意にタンパク尿が減少する現象の再現性を確かめることができた。また抗タンパク尿効果を認める機序としてAST-120が腸管内のインドールを吸着する結果、体内でインドキシル硫酸の産生を抑制すると仮定して実験を進めたが、AST120を経口投与したPAN腎症ラットの尿中あるいは血中インドキシル硫酸はAST120投与前後で有意な変化を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度はAST120を投与したPAN腎症ラットの抗タンパク尿効果は再現性が高いことが解ったため、次の実験としてAST-120がなぜPAN腎症ラットに対して抗タンパク尿効果を示すかの機序の探究をする過程に進むことができているから。
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Strategy for Future Research Activity |
AST120の投与によりタンパク尿が減少した場合の原因検索のために、AST120投与前後に尿毒素の一種であるトリメチルアミンオキシドやp-クレジル硫酸の血中濃度の推移を確認する。 また、前年度に引き続きポドサイトの損傷の程度を確認するために尿タンパク定量に加えてポドサイトの細胞内骨格に関係する分子をreal time PCRとウエスタンブロッティングで確認する。また電子顕微鏡でポドサイト足突起癒合の程度を評価する。
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Causes of Carryover |
令和5年度中に抗菌薬投与によるPAN腎症ラットに対する抗タンパク尿効果について英文論文を作成する予定であり、そのため英文校正代金として5万円程度見込みをしていた。しかし、令和5年度中に論文が完成しなかったため次年度使用額が生じた。 令和6年度に次年度使用額を使用して英文論文の校正費として使用する予定である。
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