2023 Fiscal Year Research-status Report
DNM1-L遺伝子変異による心筋症発症病態の解明と新規治療法への応用
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22K07948
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
大澤 麻登里 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 助教 (40792180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 講師 (00536229) [Withdrawn]
大澤 郁朗 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (30343586)
松本 志郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (70467992)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DNM1L / ミトコンドリア / 小児 / 心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、心筋症を発症したDNM1L変異小児患者2例よりiPS細を樹立し、DNM1Lがなぜ心筋機能不全を引き起こすかの機序を解明することを目的として本研究を実施した。本研究では、iPS細胞由来の分化心筋細胞を用いて、ミトコンドリア形態評価、機能評価、心筋細胞機能評価(収縮能・拡張能評価ならびに細胞内カルシウム動態評価)を行った。その結果DNM1L変異分化心筋細胞では、伸長した異常ミトコンドリア形態を呈することを確認した。さらに、ミトコンドリア膜電位の低下、OCR (Oxygen Consumption Rate )の低下、ATP産生低下を確認した。心筋細胞機能評価においては、ライブセルイメージングシステムにて、収縮能・拡張能の低下を確認した。さらにCa2+蛍光プローブであるFluo-4 を用いてCa2+動態を可視化し、解析を行なった。その結果、筋小胞体へのCa2+再取り込みを行うSERCA2A の機能指標である T50 (time from peak to 50% relaxation)の延長を確認した。SERCA2AはATP依存性チャネルであり、ATP産生低下によりCa2+動態異常が起きることが推測された。さらにコントロールiPS細胞由来の分化心筋細胞にミトコンドリア機能阻害剤を加えると、同様のT50延長が起こることを示し、ミトコンドリア機能低下によるATP産生低下がSERCA2Aの機能障害をもたらすことが示唆された。以上より、DNM1-L変異心筋細胞では、伸長・老朽化した異常ミトコンドリアが蓄積し、ミトコンドリア膜電位の低下、酸素消費速度の低下、ATP産生低下が起きること、そしてATP産生低下が、ATP依存性チャネルであるSERCA2Aの機能障害をもたらし、心筋細胞の収縮能・拡張能の低下につながることが示唆された。本年度は研究論文を完成させ、査読審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を終了し、論文投稿に至ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
完成させた論文査読の通過と受理を目指す。必要に応じて追加実験を行う。
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Causes of Carryover |
論文執筆に時間を費やしたことで消耗品の消費速度が緩やかになり、物品費が予測よりもかからなかった。次年度は追加実験のための消耗品や試薬の購入、論文投稿費、成果発表のための旅費等に充てる計画である。
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