2022 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎患者における直腸リンパ球の表面発現に基づいた治療効果予測法の確立
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22K07962
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩室 雅也 岡山大学, 大学病院, 助教 (30645403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白羽 英則 岡山大学, 大学病院, 講師 (40379748)
高原 政宏 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (80738427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / フローサイトメトリー / 直腸粘膜リンパ球 / 抗体製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らが開発した内視鏡生検材料(消化管粘膜)から安定的にリンパ球を分離し、フローサイトメトリーで解析する独自の方法を用い、潰瘍性大腸炎の直腸粘膜リンパ球を解析する手法を用いている。被験者(潰瘍性大腸炎)らが大腸内視鏡検査を行う際に、内視鏡用生検鉗子を用いて直腸粘膜より生検材料を1個採取し、筆者らが開発した手法を用いてリンパ球を分離した。また採血の際に血液の一部を用い、市販のリンパ球分離液(リンホプレップ)を用いて末梢血リンパ球を分離した。両者に対してフローサイトメトリー解析を行った。 これまでに抗体製剤やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤を未使用の潰瘍性大腸炎患者14例、原発性硬化性胆管炎合併患者4例、抗体製剤であるベドリズマブ使用中患者2例、アダリムマブ使用中患者2例、JAK阻害剤であるウステキヌマブ使用中患者1例を対象として、大腸内視鏡検査の際に直腸粘膜リンパ球および末梢血リンパ球を分離し、フローサイトメトリーを用いてリンパ球の総数を計測するとともに、リンパ球の細胞表面抗原を解析した。 具体的には、セントラルメモリーT細胞(CD45RA陰性CD62L陽性T細胞)およびNKT細胞(CD56陽性T細胞)を解析した。各患者で治療効果の指標、具体的には、大腸内視鏡検査の3か月後までの血便回数、下痢回数、腹痛の有無、発熱の有無、炎症反応(CRP、赤血球沈降速度)の5項目を調査し、これらの治療効果の指標と、直腸粘膜リンパ球の構成を比較検討するため、今後も症例数の上積みを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、まず潰瘍性大腸炎患者において直腸粘膜リンパ球の分離・解析を行っており、これまでに抗体製剤やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤を未使用の潰瘍性大腸炎患者14例、原発性硬化性胆管炎合併患者4例、抗体製剤であるベドリズマブ使用中患者2例、アダリムマブ使用中患者2例、JAK阻害剤であるウステキヌマブ使用中患者1例を対象として直腸粘膜リンパ球および末梢血リンパ球を分離し、フローサイトメトリーを用いてリンパ球の総数を計測するとともに、リンパ球の細胞表面抗原を解析した。全ての患者でセントラルメモリーT細胞(CD45RA陰性CD62L陽性T細胞)およびNKT細胞(CD56陽性T細胞)を解析できており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き抗体製剤(ベドリズマブ、アダリムマブ)やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(ウステキヌマブ)を使用中の潰瘍性大腸炎患者、およびこれらの薬剤を未使用の潰瘍性大腸炎患者を対象として直腸粘膜リンパ球と末梢血リンパ球を分離し、フローサイトメトリーを用いてリンパ球の総数を計測するとともに、リンパ球の細胞表面抗原を解析する。具体的には、セントラルメモリーT細胞(CD45RA陰性CD62L陽性T細胞)およびNKT細胞(CD56陽性T細胞)を解析した。各患者で治療効果の指標、具体的には、大腸内視鏡検査の3か月後までの血便回数、下痢回数、腹痛の有無、発熱の有無、炎症反応(CRP、赤血球沈降速度)の5項目を調査する。最終的には、これらの治療効果の指標と、直腸粘膜リンパ球の構成を比較検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも被検者数(大腸内視鏡検査を実施する潰瘍性大腸炎患者数)が少なかったため、次年度使用額が発生した。翌年度の実施数を増やして対応する予定である。
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