2022 Fiscal Year Research-status Report
酸分泌抑制薬はストレス環境下でバリア機能障害を惹起し好酸球性胃腸炎を増悪させるか
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22K07966
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 史生 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20623292)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 好酸球性消化管疾患 / 好酸球性胃腸炎 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性胃腸炎 (Eosinophilic gastroenteritis; EGE)は慢性アレルギー性疾患であり、消化管局所への好酸球浸潤を伴う炎症による機能不全を生じる疾患群である。現状ではEGEの病態解明が不十分なため、効果的かつ安全な治療薬の選択肢が限られている。我々はEGEの新規病態の解明のため、ストレス、酸分泌抑制薬がEGEの増悪因子となる可能性を想定し、その機序に腸管透過性が関与するとの仮説を立てた。すなわち本研究では、「酸分泌抑制薬はストレス環境下で腸管透過性を亢進させ、EGEを増悪させるのではないか」という問いを解明することを目的とする。 本研究では下記の如く2段階の仮説を定め、EGEモデルマウスを用いた実験を計画した;①「精神的ストレスは消化管バリア機能障害を生じ、EGEを増悪させるか」、②「酸分泌抑制薬は消化管バリア機能障害を生じEGEを増悪させるか ~ストレスの影響も含め~」。 まずは先行研究として実験①に取り組み、精神的ストレスは腸管透過性を亢進し、EGEを増悪させることを見出した。具体的には水回避ストレス負荷により有意に下痢発生率が増加、回腸の絨毛陰窩比が減少し、好酸球・肥満細胞数が増加した。さらには回腸でのinterleukin (IL)-4・5・13、eotaxin-1、mast cell tryptase β2 (tpsb2)のmRNA発現量が有意に亢進し、IL-5・13の蛋白発現量も有意に亢進していた。Corticotropin-releasing hormone receptor 拮抗薬の前投与は、上記の変化の全てを有意に抑制した。令和4年度は実験①に引き続いて、実験②についても取り組みを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は概ね順調に進展し、精神的ストレスは腸管透過性を亢進し、EGEを増悪させることを見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き実験計画に則って研究を推進する予定である。具体的には「酸分泌抑制薬は消化管バリア機能障害を生じEGEを増悪させるか ~ストレスの影響も含め~」というテーマに引き続き取り組む。
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Causes of Carryover |
令和4年度は他の研究資金からの出費で賄うことが多く、科研費からの出費が少なかった。そのため次年度使用額の繰り越しが発生したが、次年度以降は科研費より重点的に出費する予定である。
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