2023 Fiscal Year Research-status Report
静止期癌幹細胞維持分子BEX2を標的とした新たな胃癌治療の開発
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22K07974
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
島 真央 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 特任研究員 (50726304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 恵一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 部長 (40509262) [Withdrawn]
藤盛 春奈 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 研究員 (80882935)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胃癌 / BEX2 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、癌組織の中に「癌幹細胞」の存在が報告されており、腫瘍の発育・進展に重要な役割を果たす可能性が考えられている。この癌幹細胞は細胞周期の静止期(G0期)に存在するため、抗癌剤や放射線照射に対して強い耐性を持ち、治療抵抗性の主因を担っている。従って、静止期に存在する癌幹細胞を通常の細胞周期に誘導できれば、効果的な癌治療に結びつく可能性が考えられた。血液癌においては ユビキチンリガーゼであるFBW7 分子が静止期の維持に重要であることが示されているが、固形癌における静止期の維持に関しては、多くの点が未解明のままである。申請者らは胆管癌・肝細胞癌における静止期癌幹細胞維持遺伝子 BEX2 を同定した(Sci Rep 2020, Cancer Sci in press)。BEX2 はミトコンドリアタンパク TUFM と会合し、酸化的リ酸化を抑制することで細胞を低エネルギー状態に遷移させ、静止期に移行させる。その結果、BEX2 発現細胞はシスプラチンに対して抵抗性を持つ。また、BEX2 高発現細胞は高い造腫瘍能を持っていた。以上のことから BEX2 高発現細胞は静止期癌幹細胞であると考えられた。 他癌種におけるBEX2の役割について検討するため、組織中のBEX2の発現について評価したところ、胃の幽門腺底部においてBEX2の高発現を認めた。同部位は幽門部領域において、胃の正常組織幹細胞が存在する部位と一致する。そこで、胃癌においてもBEX2陽性細胞が癌幹細胞である可能性が考えられ、胃癌培養細胞株におけるBEX2の発現を検討したところ、BEX2の高発現が確認され、BEX2の発現を抑制することによりsphere形成能の低下を見出した。 さらにヒト胃癌組織ではBEX2高発現のものと低発現のものが存在することが明らかとなり、BEX2の発現による癌種の性質の違いについて検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
胃癌におけるBEX2発現の差異による予後の違い等、臨床所見の差について確認する。また胃癌培養細胞株のBEX2をノックダウンすることにより変動する遺伝子について検討を進める。
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Causes of Carryover |
前年度までの研究費で購入した物品によって、本年度の研究も一部遂行可能だったため、次年度使用額が生じた。次年度は遺伝子の網羅的な検索を行うため、多大な費用がかかることが予想される。
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