2023 Fiscal Year Research-status Report
B型肝炎ウイルス持続感染の完治を目指すHBV特異的Tscmを用いた新規治療の探索
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22K07984
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
茶山 弘美 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (70572329)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒト肝細胞キメラマウス / HBV / Tscm細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
HBV 治療の目標は HBs 抗体が陽性となる機能的な治癒の達成であり、そのための HBV 治療戦略としては、直接HBVの増殖を阻害すること、それに加えて宿主の免疫反応を強化することの両者が不可欠である。最近、新しい T 細胞サブセットである Tscm 細胞に注目して、Tscmを使用したHBV排除 に 至る根治的治療法のproof of conceptが提唱できるかを明らかにすることを目的として本研究を行なっている。 2023年度は、Tscmから分化したCTLの機能解析を行うこととしていた。2022年度には、慢性B型肝炎患者の末梢血より、HBV CoreおよびPolymerase tetramer陽性のTscmを検出し、慢性B型肝炎患者由来のT細胞(Tscm+ナイーブT細胞)を、ヒト肝細胞を移植したHBV感染キメラマウスへ移入し、移入したヒトT細胞の解析を行うための実験条件を確立していた。本年度は、昨年度の実験条件を用いて、HBV感染ヒト肝細胞キメラマウスの肝臓から分離した単核球細胞の発現解析と機能解析を行なった。マウス肝臓の組織学検討を行なったところ、マウス肝臓のヒト肝細胞領域に細胞浸潤が認められ、浸潤している細胞はヒトCD8alpha陽性であった。マウス肝臓から分離した単核球細胞のうち、HBV Core tetramer陽性細胞集団では、細胞内サイトカインの検出を行なった結果、IL-2やIFN-gammaの産生が認められた。また、ヒトT細胞移入後にはマウスの血清中HBV DNAの低下、ヒトアルブミン値の低下が認められた。一方、マウスの体重減少は認められず、GVHDの発症は認められなかった。これらの実験の再現性を確認した上で、慢性B型肝炎患者由来のT細胞の分化を解析するため、タイムコースを何点かとり、発現解析を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、マウスの入荷状況の変化に伴い、次年度の予定を先に前倒しした。その結果、今年度は当初の予定通りの段階まで進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、発現解析、機能解析の結果を踏まえ、Tscmを慢性B型肝炎の治療へ応用できるような条件を探索する予定である。
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