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2022 Fiscal Year Research-status Report

遠紫外線照射によるFusobacterium nucleatumの殺菌効果の検討

Research Project

Project/Area Number 22K07985
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

西川 潤  山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00379950)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 末廣 寛  山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40290978)
小林 由紀  山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80759457)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords大腸癌 / 歯周病菌 / 遠紫外線 / 殺菌
Outline of Annual Research Achievements

ウシオ電機が開発したピーク波長が222nmの遠紫外線照射装置はエキシマランプと特殊なフィルターの組み合わせによりできている。人体に有害な240nm以上の紫外線はカットされているため、DNA傷害を起こさず安全性が高い。この遠深紫外線が歯周病菌を殺菌するだけでなく、歯周病菌と菌体外物質の複合体からなるバイオフィルムを破壊することを明らかにした。歯周病菌のFusobacterium nucleatumとPorphyromonas gingivalisを液体培地で培養することによって、バイオフィルムを形成させた。その上で遠紫外線を照射することによって、通常の紫外線では認めない、バイオフィルムの破壊が確認された。バイオフォルムの量はクリスタルバイオレット染色で評価可能であり、著明に減少した。このバイオフィルムの減少は共焦点レーザー顕微鏡による3次元画像でバイオフィルムの厚さの減少によって、確認された。また、走査型電子顕微鏡においても遠紫外線照射後の細菌は細胞表面に変化が生じていることが明らかになった。殺菌機序としては、DNA傷害の指標である、ピリミジン2量体の形成が少ないことが明らかとなり、通常の紫外線が誘導するDNA傷害とはことなった機序が考えられる。Syto9/PI染色でも、通常の紫外線を照射した菌ではPIの取り込みは認めないのに対して、遠紫外線を照射した菌については明らかなPIの取り込みが認められた。PIは細胞膜非透過性のDNA結合色素であるため、遠紫外線照射によって、細胞膜に影響を与えた可能性が高い。歯周病菌の殺菌とバイオフィルムの破壊を同時に行いうる遠紫外線を応用した歯周病治療器の開発を目指し、検討を続ける。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

遠紫外線照射によるF. nucleatumの殺菌効果を定性的、定量的に検討し明らかにした。バイオフィルムの破壊効果はクリスタルバイオレット染色で定量的に確認できた。バイオフィルム内の生菌を定量には、NADHの酵素活性により発色するMTSアッセイで証明できた。生菌に取り込まれる蛍光色素 (Syto9) や死菌に取り込まれる、Propidium iodide (PI) を併用して、遠紫外線照射後のバイオフィルム内のF. nucleatumの生死を蛍光顕微鏡でも観察した。さらに形態的にも共焦点レーザー顕微鏡、走査型電子顕微鏡による観察でバイオフィルムの厚みの減少や、菌体表面の構造の変化をとらえることに成功した。殺菌機序についても検討を開始できており、紫外線でよく認められるDNA傷害は比較的少ないとの結果が得られた。
以上より、3年間の計画良く速いペースで検討が進んでいる。

Strategy for Future Research Activity

歯周病菌のうち、重症の歯周病で多く検出されたり、病因として重要とされているPorphyromonas gingivalisについても検討を加える予定である。同様にバイオフィルムを形成する偏性嫌気性菌であるため、F. nucleatumと同様の手法で遠紫外線のバイオフィルムに与える影響を評価できると考えている。
in vitroの検討が順調であるので、動物モデルを作成し、歯周病モデルに対して遠紫外線が効果を発揮するか、検討を行いたいと考えている。また、動物実験を行う上で光源が大きいことが問題となるので小型の光源の開発を企業と連携して行いたい。これらの検討を行うための別の研究費への応募も視野に入れている。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症の影響もあり、活発に研究活動を行うことができなかったため次年度使用額が生じた。研究成果を公表する学会活動が少なく、旅費は発生しなかった。しかしながら、次年度に関しては大学院生を増加し、研究活動の増加が期待され、本年度の成果を含め、学会や論文発表を行っていきたい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results)

  • [Journal Article] The bactericidal effect of far-UVC on ESBL-producing Escherichia coli2022

    • Author(s)
      Fukuda S, Nishikawa J, Kobayashi Y, Okabe Y, Fujii T, Kubota N, Otsuyama KI, Tsuneoka H, Hashimoto S,Suehiro Y, Yamasaki T, Takami T.
    • Journal Title

      American Journal of Infection

      Volume: 50 Pages: 1268-1270

    • DOI

      10.1016/j.ajic.2022.04.012.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ESBL産生大腸菌に対する遠紫外線の殺菌効果について2022

    • Author(s)
      福田 総一郎, 西川 潤, 窪田 直人, 西岡 光昭, 末廣 寛, 山崎 隆弘
    • Organizer
      第69回日本臨床検査医学会
  • [Patent(Industrial Property Rights)] 紫外線照射装置および紫外線照射方法2022

    • Inventor(s)
      西川 潤、原田耕志、福田総一郎、藤井智大、大橋広行、厚井 融
    • Industrial Property Rights Holder
      山口大学、ウシオ電機
    • Industrial Property Rights Type
      特許
    • Industrial Property Number
      2022-73254

URL: 

Published: 2023-12-25  

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