2023 Fiscal Year Research-status Report
グルコース輸送体を標的とした新規オミクス解析による大腸癌の腫瘍免疫制御機構の解明
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22K07989
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
久保田 英嗣 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30405188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 崇志 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (00781840)
片岡 洋望 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40381785)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸がん / グルコース輸送体 / SGLT-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、腫瘍微小環境の免疫細胞におけるグルコース輸送体のサイトカイン産生能を解析した。BALB/cマウスの皮下にCT26を移植し、形成された腫瘍を摘出し、酵素処理により単細胞懸濁液に調整した。腫瘍から調整した単細胞懸濁液を免疫細胞の表面マーカー抗体で染色し、フローサイトメトリーによりCD8陽性T細胞、制御性T細胞を分画分取した。 CD8陽性T細胞、制御性T細胞を培養皿に播種し、PMA(フェルボルミルステートアセテート)とイオノマイシンを添加しサイトカインの産生を刺激する。刺激後、培養液を回収し、遠心分離により、培養液に含まれる細胞の残骸などの不純物を取り除いた後に、マルチプレックス抗体アッセイを用いて、培養液中のサイトカインの定量を行った。 CD8陽性T細胞では、薬剤の刺激によりIFN-γ、TNF-α、IL-2の産生が促進された。 制御性T細胞では、TGF-β、IL-10 、IL-35の産生が促進された。 分取したCD8陽性T細胞および制御性T細胞にSGLT2阻害剤に暴露した後に、PMA、イオノマイシンで刺激し、マルチプレックス抗体アッセイを用いて、培養液中のサイトカインの定量を行ったが、SGLT2阻害剤による変化はほとんどみられなかった。siRNAを用いてCD8陽性T細胞および制御性T細胞のグルコース輸送体をknockdownして、同様の実験を行ったが、SGLT2阻害剤の実験と同様に、サイトカインの産生に有意な変化はみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの実験では、CD8陽性T細胞および制御性T細胞において、グルコース輸送体の免疫細胞の不応性やサイトカイン酸性能への明らかな関与は確認できなかった。In vitroでの有効なデータが確認されておらず、今後の実験計画について再検討を要する状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスの移植した腫瘍細胞から分取分画した免疫細胞を用いた実験では、申請者らの研究仮説である、エフェクターT細胞の機能へのグルコース輸送体の関与を支持するデータが得られていない。分取分画した免疫細胞のviabilityの問題に起因していると考えられる。今後は、腫瘍を移植したマウスにSGLT2阻害剤を投与した後に、腫瘍組織から分取分画した免疫細胞をオミクス解析やトランスクリプトーム解析を用いて、エフェクターT細胞の機能へのグルコース輸送体の関与を検証する。
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Causes of Carryover |
予定していた実験試薬の購入を見直したため。
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