2023 Fiscal Year Research-status Report
免疫賦活およびウイルス宿主免疫抑制機構の抑制によるB型肝炎治療の開発
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22K07991
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
村田 一素 自治医科大学, 医学部, 教授 (40345971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲屋 友喜 自治医科大学, 医学部, 講師 (00713562)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | B型慢性肝炎 / 免疫賦活 / 宿主免疫抑制機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス (HBV)による慢性化機序として、HBVが何らかの宿主因子を利用して複製しているとの仮説を立てた。そこで、複数の宿主因子を各siRNAでノックダウンした後に、HBV感染受容体NTCPを発現する肝がん細胞株 (HepG2-NTCP)にHBVを感染させ、ノックダウンによりHBVの複製が抑制された宿主因子を複数同定し、さらに有望な宿主因子Xに注目した。 宿主因子Xは、HBVコア蛋白 (HBc)に結合するも他のHBVコンポーネントには結合しなかった。HBcを強制発現させた細胞株に宿主因子Xを移入すると、宿主因子Xの容量依存性にHBcのユビキチン化が抑制された。一方、これらの反応は、ユビキチン化抑制剤でキャンセルされた。さらに、宿主因子XとHBcの各々の結合部位を同定し、宿主因子Xのうち、HBcには結合するもののユビキチン化を起こさない蛋白を作成し、宿主因子X, HBcとともに細胞内に移入させるとHBcはユビキチン化を受けるとともに細胞内HBcは減少した。これらのことから我々は、HBcが宿主因子Xと結合することにより、HBVは宿主によるproteasomal degradationから回避していることを明らかにした。 そこで、HBcと宿主因子Xとの会合を阻止すれば、HBVは宿主細胞内でproteasomal degradationを介して排除されるため、新たなHBV治療に成り得ると考えている。現在、我々は宿主因子XとHBcとの結合を乖離させる薬剤の開発を目指し、同スクリーニング系の開発を行っている。 さらに、スクリーニングにて得られた候補薬剤の検証のために新たな標識HBV感染系を完成させた。今年度中に候補薬剤を同定し、同標識HBV感染系にて確認を行い、新たな治療の創出を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は本研究により、HBVが宿主因子Xを利用して、宿主による排除から回避していることを明らかにすることが出来た。すなわち、研究実施計画の主な目的は完遂出来ており、かつ、新たな薬剤開発のためのスクリーニング系の開発も同時に行っていることことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニング系の開発は、北海道大学前仲教授との共同研究により、助言をいただきながら推進している。また、今年度中に低分子化合物ライブラリーを用いて薬剤スクリーニングを行うことを計画している。一方、スクリーニングにて得られた候補薬剤の検証のために新たな標識HBV感染系を完成させた。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも安価な物品を購入できたため、若干の余剰が出た。次年度に本余剰金を用いて物品の購入を行いたい。
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