2022 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児RSウイルス感染予防に向けた腸管を主眼とする新たな試み
Project/Area Number |
22K07993
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
川島 麗 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70392389)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 由紀 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 消化器病態生理研究室長 (10392391)
久保 誠 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (40464804)
伊藤 尚志 北里大学, 医学部, 講師 (90383629)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | RSウイルス / 腸内細菌 / 腸肺相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度夏、乳幼児に肺炎を起こす「RSウイルス感染症」患者が前年の400倍超で急増した。RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus;RSV)は、小児において重症化リスクが極めて高いにもかかわらず、有効なワクチンや抗ウイルス薬がない。2歳児におけるRSV感染のし易さは格段であり、一方でなぜ3歳以降に感染率が急激に減少するのかという見方をすると、2歳とは幼児への移行期であり、離乳食卒業時期と一致する。すなわち、RSV感染抵抗性の獲得は、成人食への変化が最も大きな要因であると見ることはできないであろうか。そこで、RSV感染症は、乳汁中心の食生活がその要因となり、腸内細菌叢の不均衡が呼吸器官に影響を及ぼす腸肺相関(Gut-Lung Axis)が配下にある感染症であると想定した。本研究の最終着地点は、RSV感染・食性・腸管機能・腸内細菌・呼吸器の5要素の関連性を明らかにすることである。 昨年、カナダの研究グループが気管支上皮でRSV侵入受容体「IGF1R」を発見していることから、成マウス(10週令)および乳仔マウス(生後1週間)の肺組織と腸管組織におけるIGF1RmRNA発現を比較検証した。成マウスにおいて、肺よりも腸管の方が50倍低く、一方で、乳仔マウス腸管上皮では、大人のマウスより40倍近く高いことを見出しており、RSV感染成立に消化管が無関係でない可能性を指摘する。現在、免疫染色により局在同定を試みているが、本研究結果は少なくとも、来年度の進行指針となる、RSVの腸管からの侵入経路を検討する上で、有意義な結果となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳児動物モデルの扱いに関し、想定以上に順調であったため、その後の解析に十分を時間を充てられたことにより、データの精査の精度が向上した。
|
Strategy for Future Research Activity |
食性の違いがもたらす腸管機能の変化がRSV感染に関与するかを検討する。乳汁食成マウス・繊維含乳哺乳仔マウスRSV感染性の精査として、成マウスの乳汁飼育および繊維混合人工哺乳仔マウスにRSV感染させ、受容体発現、腸管・肺組織中のRSV感染性を解析する。食性変換マウス腸管の粘膜免疫トレンド(T/B, DC, MΦ,サイトカインetc.)をフローサイトメトリーにて検討する。
|
Causes of Carryover |
研究計画実施状況としては概ね順調であるが、受容体発現解析においてスモールスケールでの測定でも正確な値が得られたため、試薬削減につながった。持ち越した分においては、次年度のモデル動物最適化予算に充当する予定である。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 腸炎におけるヒスタミンH2受容体拮抗による腸内フローラバランスの正常化2022
Author(s)
川島麗, 玉木竣, 前川達則, 川上文貴, 三澤乃々佳, 大久保裕可里, 植松檀, 矢持光理, 太田成海, 栗原誠, 市川尊文
Organizer
第95回日本生化学会
-