2023 Fiscal Year Research-status Report
腸管神経系による好酸球制御機構とその破綻による腸炎等発症機構解析
Project/Area Number |
22K08027
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤村 理紗 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助教 (30376363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 名誉教授 (20208523)
文田 貴志 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (60866995)
坂本 明美 千葉大学, バイオメディカル研究センター, 准教授 (90359597)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腸管神経 / IL5 / 好酸球 / NMU / ILC2 / 腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者ら独自の腸管神経過多であるNcx KOマウスを用いて、腸管神経に焦点を当て腸管好酸球分化の制御機構や生理的役割について分子レベルで明らかに し、炎症性腸疾患や好酸球性腸炎等の病態への関わりを解明する目的で以下の研究成果を得た。 (1) NcxKOマウスでは小腸粘膜固有層における好酸球の増多を認め、腸管神経ペプチド(NMU)により活性化した2型自然リンパ球が産生したIL5により、好酸球誘導が考えられた。そこで、NMUを産生する腸管神経への刺激について調べるため、神経芽細胞腫株(C1300)を培養下でリポポリサッカライド(LPS)による刺激を行ない、NMU発現をRT-PCRで解析した。結果、LPS刺激後にNMU発現の有意な上昇を認めた(約2.1倍)。LPSは腸内細菌が持つ糖脂質の一つであり、細菌感染が神経細胞のNMU産生を上昇させ得ると示唆した。 (2) インドメタシン(IND)を経口投与し(5mg/kg)小腸炎を誘導させたところ、NcxKOマウスは野生型マウスよりも高い感受性を示した。フローサイトメトリー(FACS)法により、IND投与下の小腸固有粘膜層における好酸球割合の変化を解析したところ、NcxKOマウスでは好酸球(CCR3+CD11b+)の増多を認めた(投与前:6.2%、投与後:62.6%)。またNcxKOマウス小腸組織ではIND投与後NMU発現が約2倍上昇した。 (3) 小腸好酸球の役割を検討する目的で、好酸球欠損/NcxKOマウス(DKO)を作製した。DKOマウスはFACS法により好酸球の消失を認めた。IND誘導小腸炎では、DKOマウスはNcxKOマウスよりも死亡率が有意に高かった。以上の結果より好酸球は腸炎に対して保護的な役割を持つ可能性が示唆された。 今後は、NcxKOマウスおよび腸炎下における好酸球の詳細な性質について解析を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NcxKOマウスでみられた好酸球の誘導のメカニズムについて、概要が明らかにされつつありおおむね進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、NcxKOマウスおよび腸炎下における好酸球の詳細な性質について解析し、論文投稿用にまとめる予定である。具体的には、フローサイトメトリー法を用いて、腸炎下における小腸固有粘膜層に存在する好酸球を抽出し、分化や活性化について検討する。また、好酸球について脂質メディエーターや抗菌物質の発現についても検討する。
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Causes of Carryover |
マウスの飼育費が確定しなかったため、調整のため残した10万円ほどが次年度使用額となった。これは次年度消耗品費に使用する予定となっている。
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