2023 Fiscal Year Research-status Report
腸管の恒常性を制御する神経シグナルの同定と治療応用
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22K08050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 綾 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医 (20931877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 喜裕 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10529192)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 樹状細胞 / オルガノイド / ニコチン / α7nAchR |
Outline of Annual Research Achievements |
自然腸炎モデルであるIL10-/-マウスへのニコチン投与は、粘膜産生細胞である杯細胞の回復、粘膜固有層白血球(LPLs)の浸潤抑制を伴って腸炎を改善し、特に樹状細胞の浸潤抑制が目立った。 既報で免疫細胞と上皮細胞による腸管恒常性の破綻を模倣するモデルとして開発したオルガノイドと樹状細胞共培養モデルを用い、アセチルコリン刺激の標的細胞について検証した。野生型マウスの小腸オルガノイドと骨髄由来樹状細胞(BMDCs)の共培養により、杯細胞への分化障害が誘導され、オルガノイドの嚢胞状の形態変化や杯細胞マーカーMuc2のmRNA発現低下を認めた。共培養へのニコチン負荷は嚢胞形成を抑制しmuc2発現を回復した。一方、樹状細胞のa7nAChRをノックアウトした共培養ではニコチンによる上皮分化障害の改善効果は消失し、共培養において樹状細胞はa7nAChRを介したコリン刺激の標的細胞である事が示され た。 IL10-/-とCD11c-cre;a7nAChRf/fを交配したIL10-/-;CD11c-cre;chrna7 fl/fl(IALマウス)はコントロールに比して腸炎が重症化し、樹状細胞のa7nAChRを介する内因性コリンシグナルが生体の腸炎を抑制する可能性が示唆された。IALマウスの粘膜固有層樹状細胞(LPL-DCs)は網羅的遺伝子解析に足るRNA検体量の確保が困難であったため、野生型マウスのBMDCで遺伝子解析を行い、得られた結果をIALマウスで検証した。BMDCへのLPS負荷によりT細胞のプライミングに関わる遺伝子群(IL1, IL6, CD80)や上皮分化障害の誘導に関わるnotchシグナルのリガンド(Jagged1)の発現が亢進し、ニコチンにより抑制されることが示された。 qPCRおよびフローサイトメトリー法によりIALマウスのLPL-DCでもこれらの遺伝子発現の亢進が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IALマウスのLPL-DCの遺伝子発現について、qPCRおよびフローサイトメトリー法で解析する検体数を追加して検証し、投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-10-/-マウスの腸炎におけるa7nAchRを介したコリンシグナルは、樹状細胞の抗原提示能や上皮分化障害の誘導能を抑制し、腸炎を改善することが示唆された。 近年、炎症性腸疾患に対して多くの生物学的製剤が開発されているが、樹状細胞を標的とした薬剤はなく、新規治療薬開発に繋がることが期待される。
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