2022 Fiscal Year Research-status Report
膵性糖尿病に対する消化酵素補充療法の適正化に呼気中水素濃度測定は有用であるか
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22K08069
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柳町 幸 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (70372282)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膵性糖尿病 / 呼気中水素濃度測定 / 消化酵素補充療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
「膵性糖尿病」は食事を消化吸収するために必要な消化酵素の分泌不全(膵外分泌不全)と糖質をはじめとした栄養素の同化に関与するインスリンの分泌不全(膵内分泌不全)が存在する糖尿病である。治療としては、消化酵素補充療法とインスリン治療が必須となる。 本疾患では、消化酵素補充療法が未施行、あるいは消化酵素補充量不足があると、インスリン治療中の頻繁な低血糖や重症低血糖のリスクが高くなる。したがって、消化酵素補充療法の要否判定に加え、適正な補充量を決定することが重要である。 本研究では、「消化酵素薬の適量」を評価するために、呼気中水素濃度を測定する食事負荷試験が有用であるかを検討する。 今年度は、対象症例の現時点での食事摂取状況の評価を行った。本研究に於いて、呼気中水素濃度測定を基に「消化酵素薬の適量」を設定するが、長期的に良好な栄養状態を維持する補充量であるかを判定するためには、対象例が必要十分な食事を摂取しているということが必須条件になるためである。 「膵性糖尿病」の代表である膵全摘術後症例では、安静時エネルギー代謝を測定したところ、約40%の症例において代謝亢進を来していることが明らかとなった。そのため、十分な食事量の設定には安静時エネルギー消費量を用いる必要があると考えられた。安静時エネルギー消費量を基にした食事指示量を設定し、設定量を継続摂取できることを確認された症例において、今後、呼気中水素濃度測定検査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画作成当初、十分な食事摂取量の設定には、身体計測結果を用いた計算式を用いる予定であった。しかし、研究代表者が膵性糖尿病(膵全摘)症例の診療において行っているエネルギー代謝測定の結果、約40%に代謝亢進が生じていることが明らかになった。 その結果を基に、対象例の食事設定には、エネルギー代謝測定結果を用いることが妥当であると判断するに至った。そのため、今年度は代謝測定のうえ十分な食事量の設定を行い、その設定量を継続的に摂取できる症例であるかを評価することが先決であると判断した。 そのため、呼気中水素測定検査は、来年度へ持ち越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
対象症例に対し、消化酵素補充療法前後の呼気中水素濃度を測定する負荷試験を施行する。また、「消化酵素薬の適量」が決定した症例においては、定期的に栄養指標の推移や持続血糖モニタリング(CGM)を用いた血糖値の推移について評価を行う。
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Causes of Carryover |
今年度、呼気中水素測定検査を施行することができなかったため、一部の物品購入のみの支出となったため。また、研究成果発表のための学会参加はなく、旅費の支出がなかったため。令和5年度は、実施できなかった検査に係る物品を充実させて研究を進める予定である。
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