2023 Fiscal Year Research-status Report
膵性糖尿病に対する消化酵素補充療法の適正化に呼気中水素濃度測定は有用であるか
Project/Area Number |
22K08069
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柳町 幸 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (70372282)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 膵外分泌不全 / 呼気中水素濃度測定 / 消化酵素補充療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
「膵性糖尿病」の治療としては、消化酵素補充療法とインスリン治療が必須であり、消化酵素補充療法が未施行、あるいは消化酵素補充量不足があると、インスリン治療中の頻繁な低血糖や重症低血糖のリスクが高くなる。したがって、消化酵素補充療法の要否判定に加え、適正な補充量を決定することは治療上重要である。本研究は、「消化酵素薬の適量」を評価するための呼気中水素濃度を測定する食事負荷試験の有用性を検討するものである。 2022年度は、膵性糖尿病症例では、安静時エネルギー代謝亢進を認める場合があるため、食事食事量設定には安静時エネルギー消費量を用いる必要がある事を示し、2023年度は食事エネルギーの見直しを図る予定であった。しかし、機器トラブルにより食事エネルギーの見直しが不可能であった。 そこで、2023年度は、膵全摘による膵性糖尿病症例12例の食事摂取状況、消化酵素補充量、栄養状態の評価を行った。食事摂取量は、エネルギー量1959kcal(40kcal/kg現体重)、蛋白質量86g(1.7g/kg現体重)、脂質量54gであった。平均消化酵素補充量は、パンクレリパーゼ1935mg/日であった。平均BMI20.1kg/m2、血清アルブミン値3.7g/dL、総コレステロール値176mg/dLであった。栄養リスク評価に用いるGNRIでは、平均93.5であり、中等度低栄養リスクの基準値となる92未満の症例は5例であった。食事としては現体重1kg当たり40kcalを摂取していたにもかかわらず、中等度低栄養リスクありと判定された症例は5例であった。これらの症例において、低栄養リスクの要因は、摂取エネルギー不足であるか、消化酵素補充量不足であるかの評価を行うことが必要であったが、2023年度はその評価を行うことができなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度末~2023年度はじめにかけ、安静時エネルギー代謝量を測定し食事エネルギーを設定、消化酵素補充量調整のうえ、呼気中水素濃度測定、持続血糖モニタリング、栄養評価を行う予定であった。しかし、代謝測定機器の故障により食事設定のための代謝測定が不可能となり、それ以降に予定していた呼気検査を施行することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度末、代謝測定機器の修理がようやく終了したため、今年度は、対象症例に対し消化酵素補充療法前後の呼気中水素濃度を測定する負荷試験を施行する。また、「消化酵素薬の適量」が決定した症例においては、定期的に栄養指標の推移や持続血糖モニタリング(CGM)を用いた血糖値の推移について評価を行う。
|
Causes of Carryover |
代謝測定機器の修理が必要となり、研究課題再開の目処が立たなかったため、研究に必要な物品の購入ができなかった。 今年度は、研究課題を遂行し、次年度繰越金は、研究成果発表のための旅費や論文発表のための経費に使用する予定である。
|