2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト食道・胃接合部で限局的に発生する一酸化窒素のバレット腺癌進展に及ぼす影響
Project/Area Number |
22K08070
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
飯島 克則 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (60375003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下平 陽介 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (20777982)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 食道腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、食道・胃接合部の内腔で限局的に発生する一酸化窒素(NO)によるバレット食道、食道腺癌に対する影響を検討する。 当初、2種類のバレット腺癌細胞株(OE-19、OE-33)を海外の共同研究施設から取り寄せ、それを用いて、NO暴露群、胆汁酸暴露群の暴露実験を行う予定であった。しかし、その施設では、現在、その培養細胞株を扱っていないとのことで、他の施設に問合せ中である。 代わって、ヒトでの検討として、バレット食道癌患者における口腔内細菌叢による硝酸塩還元能を検討する研究を計画した。ヒトの口腔内で生息するある種の細菌は、硝酸塩還元能を有し、その結果生成される亜硝酸塩は、唾液とともに嚥下され、食道・胃接合部で強酸性の胃液と接触すると、化学反応でNOが生成される。我々は、これまでこうして生成されるNOとバレット食道、食道腺癌に関しての検討をしてきたが、ヒトでの検討が不十分であることから今回の研究を行うことにした。 ヒトでの検討を開始するために、まず秋田大学倫理委員会に研究計画を提出し、無事承認された(承認番号2876:食道腺癌における口腔内細菌叢に関する前向き研究)。現在、研究を開始し、秋田大学医学部付属病院消化器内科において、早期食道腺癌患者、及び健常コントロールを被検者として募っている。本研究では、各被検者から唾液、口腔内すすぎ液を採取し、唾液中細菌叢の解析、硝酸塩還元能の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を使用した研究は、まだ始められていないが、代わりにヒトでの研究を計画した。研究は、すでに秋田大学倫理委員会の承認を得て、開始されている。すでに食道腺癌患者、健常コントロールとも数名ずつエントリーされている。
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Strategy for Future Research Activity |
秋田大学附属病院消化器内科において下記の前向き臨床研究を進めていく。 対象:表在型食道腺癌患者30名、及び、スクリーニング内視鏡で異常を認めない健常者30名 症例数の設定根拠:今回の研究は、探索的研究であり、先行研究(Snider EJ, et al. Clin Transl Gastroenterol. 2018; 9:135,)で、バレット食道患者32名での解析が行われており、これを参考に、対象症例数は、表在型食道腺癌患者30名とした。 方法:起床後絶飲食状態の各被験者から2mlの唾液を採取する。唾液採取前には、一度口腔内を水で濯いだ後の第一唾液の採取とする。採取した唾液は、凍結保存し、後の細菌叢解析に用いる。引き続き、各被検者において口腔内での亜硝酸塩の生成能を評価する。口腔内を蒸留水でよくゆすいだのち、10mg/Lの濃度の硝酸ナトリウム溶液22mlを口腔内に入れ、そのまま3分間貯めてもらう。この間、1分ごと(1分後、2分後、3分後)に口腔内溶液を攪拌してもらった後にスポイトで溶液1.5mlを採取する。採取されたサンプル溶液は、凍結保存し、後日、亜硝酸塩濃度を測定する。 腸内細菌叢の解析は、次世代シークエンサーを用いて行い、各細菌ごとの硝酸塩還元能(nitrate reductase)の有無に着目して食道腺癌患者と健常コントロールで比較する。 採取した各々の口腔内攪拌溶液の亜硝酸塩濃度をGriess法を用いて測定することで、各個人の口腔内亜硝酸塩生成能を評価する。
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Causes of Carryover |
支払い額をちょうど合わせることができず、143円の差額が生じた。
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Research Products
(9 results)