2023 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子発現解析・エピゲノム解析に基づくA型胃炎の分子機構の解明
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22K08073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新美 惠子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40646957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 秀太 岡山大学, 大学病院, 准教授 (10372111)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | A型胃炎 / ピロリ感染胃炎 / 網羅的遺伝子発現解析 / メチル化アレイ / 胃癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
多施設共同研究として症例集積を行い、A型胃炎・ピロリ感染胃炎を含むメチル化アレイを施行、慢性持続する自己免疫機序による炎症の結果、胃上皮細胞に高度なメチル化状態が誘導されることを発見した。ピロリ感染胃炎で過剰なメチル化が進むことは以前より報告されており、A型胃炎も同様の機序が考えられたが、両者では浸潤する炎症細胞の主体が異なっており、メチル化が誘導される遺伝子群もその違いを反映する傾向が認められた。これらの成果はJournal of Gastroenterology誌(2022, 57:144-155)に英文原著論文として報告した。 次に、mRNAマイクロアレイを施行したところ、A型胃炎はピロリ感染胃炎や正常胃と比較して独特の遺伝子発現プロファイルを持ち、特に神経内分泌腫瘍形成に関与するGASTとPAPPA2が高発現していた。A型胃炎・ピロリ感染胃炎をパスウェイ解析にて比較すると、両胃炎で炎症関連遺伝子の発現上昇を認めたが、ピロリ感染胃炎でその傾向は顕著であった。一方、小腸関連遺伝子の発現上昇を両胃炎で認めたが、この傾向はA型胃炎でより顕著であった。組織エンリッチメント解析でも同様の結果が得られた。また、A型胃炎では病理学的に認める膵上皮化生を反映して、膵関連遺伝子の発現上昇を認めるなど、ピロリ関連胃炎よりも多様な分化異常を示し、免疫染色による発現解析でもこの傾向が示された。A型胃炎における多様な分化異常が、神経内分泌腫瘍や通常型胃腺癌など、多様な腫瘍発生に繋がっていることが示唆された。これらの成果はJournal of Gastroenterology誌(2024, 59: 95-108)に英文原著論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19によるパンデミックの影響で、多くの医療機関で受診控えが起こったため、A型胃炎やピロリ感染胃炎の患者が内視鏡検査を施行する回数が大きく減じる状況(特に2020年1月~2022年12月)が生じた結果、胃粘膜生検の組織採取の集積に遅延が生じた。メチル化解析では、予定より解析検体数が少なめではあったものも、明確な結果が得られたため、研究計画通りのデータ解析と専門英文誌への掲載が達成された。その後、やや遅れて検体数が十分数に到達したため、mRNAマイクロアレイのデータ解析を行い、結果をまとめて、専門英文誌への掲載が達成された。現在は、miRNAマイクロアレイ解析とオミックス解析解析、ならびに、免疫染色や分子機序の解明のための分子生物学実験を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に進んでおり、現在、miRNAマイクロアレイ解析とオミックス解析解析、ならびに、免疫染色や分子機序の解明のための分子生物学実験を行っている。
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Causes of Carryover |
COVID-19によるパンデミックの影響で2020年1月~2022年12月まで受診控えが起こり、A型胃炎やピロリ感染胃炎の患者が内視鏡検査を施行する回数が大きく減じる状況が生じた。その結果、胃粘膜生検の組織採取の集積に遅延が生じたため。ただ、その後の解析を早めることで途中で生じた遅延はほぼ改善しており、研究は概ね順調に進んでいる。現在、本研究の最終段階であるmiRNAマイクロアレイ解析とオミックス解析解析、ならびに、免疫染色や分子機序の解明のための分子生物学実験を施行しており、予定通り、これを継続する。
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Research Products
(3 results)