2022 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子KLFファミリーの機能から紐解く腸管炎症制御と線維化メカニズム
Project/Area Number |
22K08082
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
片野 敬仁 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50768372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 民秀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (40209581)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マクロファージ / KLF4 / 炎症性腸疾患 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マクロファージの極性を司る転写因子ネットワークと、炎症プロセスにおけるM1/M2サブクラス(M2a, M2b, M2c)と腸管上皮・間質筋線維芽細胞との相互作用を明らかにすることを目的に、とくにKLF4によるマクロファージ極性誘導の制御機構から炎症小腸上皮における線維化誘導機構に着目して研究を遂行した。 マクロファージの極性誘導におけるKLF4の機能解析として、ヒト単球細胞(THP-1)にPMA刺激をし、IFN-γ、LPSで刺激を与えM1に、IL-4、IL-13の刺激でM2aに分化誘導を行った。IgGでM2bに、IL-10でM2cに誘導した。マクロファージ各サブクラスにおいてKLF4発現が異なることを確認した。各サブクラスのKLF4ノックダウンにより、TNFαをはじめとする炎症性サイトカインマーカー発現が有意に上昇し、KLF4がM1様の極性への誘導に関与していることが示唆された。 腸管筋線維芽細胞株(IMF)を用いて、M0、M1、M2a、M2b、M2cの培養上清との共培養での線維化マーカーの変化を確認した結果、M2bが腸管上皮の線維化誘導に抑制的に作用することが示唆された。M2bへの極性誘導後に特徴的に発現するIL10がIMFのαSMA発現を低下させたことから、IL10が線維化抑制の重要な因子である可能性を見出した。一方、M2cの培養上清との共培養ではスクラッチアッセイでのIMFのhealing rateが有意に上昇しており、M2cが腸管線維化に促進的に作用することが示唆された。 ヒトiPS細胞から樹立した小腸上皮の3次元培養オルガノイドを用いて、さらに実験的操作性を向上させるために、air-liquid interface環境下で平面的に腸管上皮の立体構造を再現する培養系を樹立した。このヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞を用いてアスピリン粘膜傷害を再現した。
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