2023 Fiscal Year Research-status Report
肺静脈心筋の潜在性自動能の機序解明とペースメーカー電流の動物種差に関する検討
Project/Area Number |
22K08093
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
尾野 恭一 秋田大学, 本部, 理事 (70185635)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 洋介 秋田大学, 医学系研究科, 講師 (50758224)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 心臓自動能 / イオンチャネル / 洞房結節 / 比較生理学 / 肺静脈心筋 / 心房細動 |
Outline of Annual Research Achievements |
該当年度は、ブタ肺静脈を用いた実験を断念し、心臓血管外科との学内共同研究によりヒト肺静脈を対象とした実験にも取り組んだ。ヒト肺静脈を対象とした遺伝子発現解析では、発作性心房細動だけでなく、慢性心房細動でも肺静脈は大きな役割を果たしているがわかった(Igarashi, IJMS 2023)。 また、電位依存特性ならびに塩化セシウム感受性から、ヒト肺静脈心筋細胞における過分極活性化電流の種類はほぼ同定されている。さらなる薬理実験を追加して確実に同定する計画である。 さらに、ラット洞房結節細胞の過分極活性化電流には塩化セシウムで抑制されない成分があり、細胞内クロライド濃度が150 mMの時の逆転電位から、Cl-電流である可能性が高い。今後、異なるクロライド濃度での実験を繰り返す必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの心臓に関する我々の研究で、表現型に影響が無い範囲であれば、同じ哺乳類の中でも分子レベルの種差が大きい事が分かってきた。したがって、進化プロセスが自然淘汰から外れれない範囲で、分子レベルでは多様性がプールされているという中立進化説の例を示しているのかも知れない。ただし、理論を裏付けるためには更なる実験データによる補強が必要である。現在のペースでは研究期間内に全てのプロジェクトを完遂するのは難しい。特にヒト肺静脈の入手は不定期であり、予定通りになっていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒト肺静脈心筋細胞の薬理実験を通して、過分極活性化電流の種類を同定する。電流の種類によっては、術後心房細動治療方法を新規開拓できる可能性がある。ラット洞房結節細胞の過分極活性化電流の種類を同定する。
|
Causes of Carryover |
肺静脈研究については、研究分担者ならびに共同研究者からも支援があったため、次年度の論文発表に向けて研究費を温存した。
|