2022 Fiscal Year Research-status Report
メタボローム解析を用いた肺動脈性肺高血圧症のバイオマーカの網羅的探索
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22K08104
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
江口 正倫 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70585405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 聡司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (10336159)
前村 浩二 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90282649)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | メタボローム解析 / 肺動脈性肺高血圧症 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内には、低分子化合物(代謝産物:メタボライト)が多く存在している。昨今メタボライトを網羅的に解析するメタボローム解析が可能となり、生体内の最終産物であり、遺伝子などと比較して病態の表現系に最も近く、また、血液中や尿中に存在するメタボライトの疾患バイオマーカとしての有用性が注目を集めている。肺動脈性肺高血圧症(PAH)の予後は未だ不良であり、予後改善のため、PAHの病態を反映した新しいバイオマーカの発見が望まれている。本研究では、PAH症例の血液を用い、メタボローム解析を行い、PAH発症のバイオマーカとして有用なメタボライトを探索する。その後、同定されたメタボライトのPAHの病態への関与を解明し、その代謝経路をターゲットとした新しい治療法の開発を目標とする。 2022年度は、PAH患者血液を用いたメタボローム解析(PAH症例 3例 コントロール症例 2例 合計 10検体)を行った。その結果から、①PAH患者では肺循環で上昇する(肺動脈より左心室で高値)、②コントロール患者で肺循環で変化しない、③コントロール患者に比較してPAH患者で高値、の3つの条件をみたすメタボライトをスクリーニングしている。いくつかの候補となるメタボロームを選定し、さらなる症例で解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者サンプルを用いて解析を行った。現在ではいくつか候補となるメタボロームを絞って、解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該メタボロームの左心室/肺動脈比をとって肺循環での変化率を計測し、右心カテーテル検査で得られた平均肺動脈圧や肺血管抵抗との相関性を検討する。さらに関連病院から得られたPAH患者の血液サンプルも用いて、当該メタボライトがPAHの診断マーカとして妥当かを検証する。また、PAHの動物モデル(MCT-PAHモデルと低酸素-PAHモデル)を作成し、それぞれ、肺組織やその他の臓器で該当のメタボライトの発現を確認し、血中のメタボライトの濃度を測定する。メタボライトには種差が少ないことからPAHモデル動物でも、再現性は得られると考える。
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