2023 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧症における新たな機序の解明:エンドセリン受容体におけるβアレスチンの役割
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22K08119
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
花田 賢二 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90632993)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | βアレスチン / 肺動脈性肺高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウス、βアレスチン1ノックアウトマウス、βアレスチン2ノックアウトマウスに対して8週間のモノクロタリンの皮下投与により肺高血圧モデルを作製した。経時的な心エコーでは、左室壁厚や左室拡張末期径、左室内径短縮率などのパラメータには有意差を認めなかった。モノクロタリン投与後の死亡率は、βアレスチン1ノックアウトマウスにおいて野生型マウスと比較して有意な改善を認めた。また、βアレスチン1ノックアウトマウスでは、モノクロタリンの投与による肺細動脈の平滑筋層の肥厚、右室の線維化、および右室重量の増加が野生型マウスと比較して有意に軽減していた。以上より、βアレスチン1ノックアウトマウスでは、モノクロタリンの投与による肺高血圧症の病態形成に抑制的には作用している可能性が示唆された。なお、Vehicle投与群では、野生型マウスとβアレスチン1ノックアウトマウスにおける各パラメータに差は認めなかった。βアレスチン2ノックアウトマウスは十分な匹数がえられていなかったが、最近数が確保されたため、今後同様の実験をすすめる予定である。 in vitroの系では、ヒト肺動脈平滑筋細胞を用いて、βアレスチン1またはβアレスチン2のノックダウンによる効果を検証するため、現在、リポフェクションやエレクトロポレーションを含めてノックダウンのプロトコルを調整中である。プロトコルが確立次第、炎症性サイトカインや線維化マーカーの測定などの実験をすすめる方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivoの系においては、上記のとおりマウスの実験が順調にすすんでいる。βアレスチン2ノックアウトマウスによる実験をすすめ、また組織のqPCRの解析を残りの1年で行う。in vitroの系においては、これからβアレスチンノックダウンによる効果を確認する方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
モノクロタリンの投与後の野生型マウス、βアレスチン1ノックアウトマウスの肺組織および右室組織のqPCRを行い、炎症性サイトカインや線維化マーカーの測定を行う。また、βアレスチン2ノックアウトマウスでも同様に実験をすすめる。 in vitroの系においては、肺動脈平滑筋細胞によるβアレスチン1、βアレスチン2のノックダウンのプロトコルを確立し、炎症性サイトカインや線維化マーカーの測定、およびスクラッチアッセイによる細胞増殖、移動の評価を行う。
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