2022 Fiscal Year Research-status Report
がん組織における心筋特異的トロポニンT発現の病態生理学的意義
Project/Area Number |
22K08128
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 教授 (10389570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 勇一郎 宮崎大学, 医学部, 准教授 (90347055)
池田 龍二 宮崎大学, 医学部, 教授 (50398278)
畠山 金太 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (60325735)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺がん / トロポニンT / 免疫活性 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
血中心筋トロポニン-T濃度は心筋梗塞や抗がん剤による心筋障害のバイオマーカーとして日常診療で用いられる。我々は明らかな心筋障害がないにも関わらず血中トロポニン-T濃度が高値で、がん組織がその産生源である可能性のある患者を経験した(Tsuruda T, et al. Front. Cardiovasc. Med., 2019; 6:124)。本研究はこの臨床経験をもとに計画され、がん組織でのトロポニン-T発現を検討した。肺がん患者68名(68±11歳、初期病変33例、進行病変35例)のパラフィン切片を用いてトロポニンTの免疫染色(Clone13-11, 1 microgram/mL)を行った。トロポニン-Tの発現頻度は37%(25/68例)でがん細胞の細胞質や核にその免疫活性を観察した。その内訳は、扁平上皮癌(6/13例)、腺癌(18/50例)、神経内分泌癌(0/4)、大細胞癌(1/1例)であった。また、免疫活性の陽性頻度は初期病変(0-I期)は9%(3/33例)、進行病変(II-IV期、再発例)は63%(22/35例)だった。さらにトロポニン-T陽性頻度は胸膜浸潤(9/35 vs. 4/5, χ2=5.877, p=0.015)や血管浸潤(9/35 vs. 3/5, χ2=2.449, p=0.118)で増加傾向を示し、リンパ管浸潤例で減少傾向であった(13/35 vs. 1/5, χ2=3.288, p=0.07)。術中病理に提出された扁平上皮癌および腺癌組織ではトロポニン-T遺伝子発現を検出した。以上から、心筋トロポニン-Tはがん組織でも発現し病期の進行と関連する可能性が示唆された。今後、がん組織におけるトロポニン-Tの病態生理学的役割について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究成果は論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
がん組織に心筋トロポニン-Tが発現する病態生理学的役割について培養細胞を用いて検討する。まず、肺がん細胞の中からトロポニン-Tを発現するものを抽出し、RNA干渉法もしくは遺伝子導入にて、細胞の形態や分子生物学的手法を用いて解明に臨む。
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Causes of Carryover |
当初計画より経費節約ができたため。次年度の物品費として使用予定。
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Research Products
(2 results)