2022 Fiscal Year Research-status Report
バイオインフォマティクスを用いた非コードDNA解析による若年突然死の発症機序解明
Project/Area Number |
22K08168
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
村田 広茂 日本医科大学, 医学部, 助教 (30594014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 渉 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学教授 (50399606)
相庭 武司 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (40574348)
牧山 武 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (30528302)
大野 聖子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (20610025)
加藤 浩一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70736983)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | バイオインフォマティクス / 遺伝性不整脈 / 心臓突然死 / エピジェネティクス / 全ゲノムシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性不整脈疾患は、心臓突然死の原因となる致死性不整脈を発症する疾患群である。従来健康で社会に貢献する世代を突然襲う疾患であり、それにより失われる文化経済的損害は多大なものである。これを未然に予防、治療するためには疾患の遺伝子基盤に基づく発症機序を正確に同定することが非常に重要である。しかし、最も研究が進んでいるQT延長症候群で3割ほど、Brugada症候群にいたっては約8割の患者の原因遺伝子は不明である。そこで本研究では、ターゲット領域遺伝子解析や全エクソン解析等によっても原因遺伝子、病原性バリアントを同定できなかった心臓突然死の家系を対象とし、全ゲノム解析を行っている。研究初年度は、バイオインフォマティクス解析の準備として候補変異の絞り込み用にオープンソースのワークフロー作成プログラムKNIME(https://www.knime.com/)を利用し、最新のエピジェネティクス・データベースを導入したカスタムメイドの解析パイプラインを構築した。平均500万個のSNPと5千個の構造バリアントを検出しバイオインフォマティクス解析を行っている。一部結果として、心臓突然死の一家系で、PITX2-C4orf32遺伝子間領域に心臓突然死に関わる欠失を新たに同定した。現在までに心臓突然死7家系の疾患原因となっていることが判明し、iPS細胞、トランスジェニックマウスを用いた機能解析を施行し、結果を学会等で発表し、論文を学会誌へ投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は、これまで準備してきた研究の解析が進み、論文作成を行った。候補患者の選定と遺伝子検査に時間を要したが、年度末にようやく新規のシークエンス結果が届き始めており、今後、順次、シークエンス結果が届き、解析可能となる予定である。また、バイオインフォマティクス解析の環境構築を整える予定であったが、解析用コンピューターとメモリ等の費用コストが上がり、十分な環境構築ができなかった。解析ソフトウェアの作成と準備は完了しており、次年度以降の費用を合わせて用いて解析コンピューターのアップデートを再検討する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究初年度は、候補患者のシークエンス結果は一部しか到着していない状況であり、今後、順次、シークエンス結果が届きしだい、バイオインフォマティクス解析を進める予定である。すでに解析が進んでいる心臓突然死の家系では、PITX2-C4orf32遺伝子間領域に心臓突然死に関わる欠失を同定しており、現在までに心臓突然死7家系の疾患原因となっていることをRT-PCR法およびSanger法を用いて証明した。本欠失と心疾患との関係を証明するために、京都大学へ研究協力を依頼しiPS細胞を用いた機能解析とトランスジェニックマウスを用いた解析を行い、その結果を学会で発表し、原著論文を投稿中である。また、初年度にバイオインフォマティクス解析の準備を整える予定であったが、解析用コンピューターとメモリ等の費用コストが上がり、十分な環境構築ができなかった。解析ソフトウェアの作成と準備は完了しており、次年度以降の費用を合わせて用いて解析コンピューターのアップデートを再検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
研究初年度は、初年度にバイオインフォマティクス解析の準備を整える予定であったが、解析用コンピューターとメモリ等の費用コストが上がり、十分な環境構築ができなかった。解析ソフトウェアの作成と準備は完了しており、次年度以降の費用を合わせて用いて解析コンピューターのアップデートを再検討する予定である。また、候補患者の選定と遺伝子検査に時間を要したたため、シークエンス結果は一部しか到着していない状況である。全ゲノム解析費用の発注が次年度に繰り越しとなったため、次年度使用額が生じている。
|