2022 Fiscal Year Research-status Report
心不全によるがん進行・転移促進の機序の解明:交感神経による免疫寛容制御の視点から
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22K08190
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
谷 哲矢 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90922287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 雅啓 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30457775)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心不全 / 腫瘍 / 心筋梗塞 / 交感神経 / 免疫寛容 / 腫瘍循環器 |
Outline of Annual Research Achievements |
心疾患と悪性腫瘍は本邦における死因の上位疾病であり、共通のリスク因子を有意している。また心不全の患者はがんの発生率が高いとの報告がある。がんと循環器分野はOnco-cardiologyという学際領域として注目されている。 本研究の目的は心筋梗塞心不全マウスモデルを作成し、心不全ががんに与える影響について検討した。BALB/cを用いて心筋梗塞後心不全マウスを作成し、術後2週目にBALB/c由来の乳がん細胞である4T1細胞を右第四乳腺脂肪体に移植した。腫瘍サイズは移植後3週まで測定した結果、心筋梗塞後心不全マウスで偽手術マウスと比較して有意に腫瘍が増大していた。心筋梗塞後にはNGFやBDNFといった液性因子が上昇し、交感神経のリモデリングを促進すると言われており、本実験でも心筋梗塞後心不全マウスで術後2週と5週で血清NGFが有意に上昇していることが示された。また、心筋梗塞後3日の心筋組織でNGFのmRNA上昇と蛋白発現の有意な上昇を認め、心筋由来の血清NGFが腫瘍増大に関与している可能性が示唆された。 免疫寛容に関与しているPD-L1の発現については心筋や腫瘍組織での解析を進めており、交感神経リモデリングについてTH染色による免疫染色で解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は心筋梗塞後心不全マウスにおいて、有意な腫瘍増大を認めた。交感神経リモデリングに関与しているNGFの発現が心筋梗塞近傍の心筋で増加し、血清NGF濃度の上昇を認めた。交感神経と腫瘍との関与が示唆されがんと心不全の関連について研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋や腫瘍組織周囲でのPD-L1発現の変化や交感神経密度の変化についての評価を進めていく方針である。
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Research Products
(1 results)