2023 Fiscal Year Research-status Report
ネプリライシンの心不全改善効果に寄与する基質の優位性の解明
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22K08192
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中川 仁 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20533730)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ネプリライシン |
Outline of Annual Research Achievements |
ネプリライシン阻害薬の心保護の作用機序を解明することを目的とし、ネプリライシン阻害薬を投与された心不全患者の採血検体において、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)と心室性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)の血中濃度を測定し、ネプリライシン阻害薬のANP、BNPに対する作用において違いを認めるか否かについて検証した。 我々は、サクビトリルバルサルタンを開始する心不全患者を対象に、投与前後でのナトリウム利尿ペプチドの動態を評価することにした。当研究は奈良県立医科大学倫理委員会の承認を得ており、同意取得後に採血のサンプリングを実施した。具体的には、サクビトリルバルサルタン50mgを投与前・投与後2・4・6・24時間での採血を9症例において実施した。 ネプリライシンの基質となるペプチドの動態を評価することが目的であり、まずは基質のうちナトリウム利尿ペプチドのANP、BNPのみ測定した。ANPはネプリライシン阻害薬投与後に最大2倍近く上昇したが、BNPは2割程度の上昇にとどまった。ANPとBNPの上昇には統計学的に有意な差を認め、基質としての優位性の違いを確認することができた。ただし、現行のBNPの測定法は、前駆体であるpro-BNPが測定値の半分以上に含まれているとされており、基質としての環状BNP(active form)の評価を正しくできていない可能性がある。 国立循環器病センターにactive form BNPの測定をお願いした結果、active formはおよそ1.7倍に上昇しており、生体内ではBNPがネプリライシンの基質として影響を受けていることが明らかになった。 今年度はさらに症例を追加していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床サンプルの収集がやや遅れているが、プロトコールや測定系は安定していることが確認できた。 引き続き、サンプル数を増やす予定である。
NEP KOマウスを用いたプロテオーム解析を試みたが、ペプチド解析が必要であると判断しペプチド―ム解析を試みる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床サンプルを増やし、active form BNPの測定を継続する予定である。 また、追加での検討として、NEPのナトリウム利尿ペプチドに対する優位性を検討する上で、どこの組織のNEPが重要であるかを確かめるため、外因性のhANPを投与し、ARNI投与後のナトリウム利尿ペプチドの変動を確認することにした。
NEP KOマウスの心臓組織においてペプチド―ムが可能か検討する予定である。
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