2022 Fiscal Year Research-status Report
心不全におけるFKBP5のエピジェネティクスを基軸とした炎症制御機構の解明
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22K08211
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
和田 健斗 福島県立医科大学, 医学部, 客員研究員 (10865695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三阪 智史 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50793080)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | FKBP5 / DNAメチル化 / 心不全 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスにより誘発される蛋白質であるFK506-binding protein 5 (FKBP5)に着目して、心不全における単球-マクロファージにおけるFKBP5の意義を明らかにする。当院に心不全入院となった患者群の末梢白血球DNAメチル化レベルについて解析を行った.健常群と比してFKBP5メチル化レベルは低下傾向であった.また左室機能(LVEF)別にFKBP5メチル化レベルの検討を行ったが明らかな関連は認められなかった.また拡張型心筋症の患者群のみに着目すると,FKBP5メチル化レベルは有意に低下していた.続いて心房細動の患者群でも有意な低下を認めた.虚血性心疾患の患者群では健常群と比して有意差は認められなかった.今後もFKBP5のエピジェネティクス制御機構が、炎症活性化に関わる重要なメカニズムとして考えられ、FKBP5のDNAメチル化の分子機構とその機能的な意義を検討し、左室リモデリングの病態にどのように関与するかを明らかにするため検討を重ねる。また心不全における骨髄由来炎症細胞のFKBP5の役割を明らかにするために、マウスの骨髄移植モデルでの検討を行う。FKBP5の単球-マクロファージの分化および活性化に関わる分子機構をEx vivoで検討する。圧負荷心不全の野生型マウスから、末梢血単球と心臓マクロファージを単離して、DNAメチル化解析を行う。溶血処理を行った末梢血およびコラゲナーゼ処理を行った心臓組織から、ビーズで標識された単球・マクロファージ特異的抗体(抗CD11b抗体)を用いて、磁気活性化細胞選別により単球・マクロファージを選択的にソーティングする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記内容の通り,心不全患者の末梢白血球中でのFKBP5メチル化レベルについて,拡張型心筋症,心房細動,虚血性心疾患の患者群にて検討を重ねいくつかの有意差を持った関連性が明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はIn vitro, in vivo双方からアプローチし、さらにヒト患者検体を用いたトランスレーショナル研究へと発展させ、炎症細胞におけるFKBP5が新しい心不全の治療ターゲットとなるか検討する。FKBP5のCpG領域を含んだシークエンスをpGL3 Basicルシフェラーゼレポーターにクローニングし、メチル基転移酵素によりメチル化処理を行わなかった非メチル化ベクターと、メチル化処理を行ったメチル化ベクターをマクロファージ培養細胞(RAW細胞)にトランスフェクションし、炎症刺激を加えてルシフェラーゼアッセイによるプロモーター解析を行う。不全患者と心血管疾患の既往のない対照被験者を対象として、末梢血から単球を単離してDNAを抽出する。同様に、FKBP5のCpGアイランド(転写開始部位、推定プロモーター領域,非翻訳調節領域)をターゲットとしてメチル化・非メチル化特異的PCRによりメチル化を定量評価する。マウスでの結果と併せて、心不全で変化するFKBP5メチル化CpG部位を明らかに出来る。また、FKBP5mRNAや炎症性サイトカインの発現をRT-qPCRや、NF-κB (p65、IκBα)活性化を解析する。FKBP5 DNAメチル化レベルと、臨床背景、バイオマーカー、心エコーパラメータ、FKBP5 mRNAや炎症反応との関連性を検討する。
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