2022 Fiscal Year Research-status Report
肺動脈性肺高血圧症の内皮間葉分化転換におけるDNA損傷応答とTGF-βの役割
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22K08212
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
杉本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (30404867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 隆史 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40346482)
三阪 智史 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50793080)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / DNA損傷 / 内皮間葉移行 / TGF-β / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、VEGF阻害薬SUGEN5416(20 mg/日)を投与した上で低酸素(10%)に曝露することで肺高血圧モデルマウスを作成し(Sugen-Hypoxia群)、対象マウス(normoxia群)と以下の項目について比較を行った。①右室圧、②右室肥大(右室・左室重量比)、③肺動脈内膜肥厚、④肺毛細血管の筋性化、⑤DNA損傷応答の活性化(γH2AX(二本鎖切断))、⑥TGF-β 発現(血中TGF-β濃度、SMAD2/3 リン酸化)。 結果:Sugen-Hypoxia群において、2週目から3週目に右室圧の上昇と右室肥大が認められた。肺組織に対するαSMAの免疫染色の結果、Sugen-hypoxia群では肺細動脈レベルでの中膜肥厚が見られたほか、特に毛細血管レベルの筋性変化が著明であった。また、本研究では内膜肥厚や叢状変化は認められなかった。蛍光免疫染色により、γH2AXが肺動脈内皮細胞の核内においても、平滑筋と同等に認めっれることが明らかとなった。ウエスタンブロットにより肺組織全体のγH2AXの発現量を比較すると、Sugen-Hypoxia群で有意に増加していることが示された。また、Smad2, リン酸化Smad2の局在を蛍光免疫染色で確認すると、Smad2は肺動脈においては中膜よりも内膜側に強く発現する傾向がみられた。ウエスタンブロットの結果、肺組織のSmad2のリン酸化はSugen Hypoxia群において亢進していた。一方、雌マウスにおいてはSugen-Hypoxia群の3週目にTGFβが上昇している傾向が見られたが、統計学的有意差は認められなかった。 今回の実験では、Smad2やDNA損傷のマーカーとなるγH2AXは、Sugen-Hypoxia群においてnormoxia群よりも上昇しており、我々の仮説に矛盾しない結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのSugen-Hypoxiaマウスの実験において、DNA損傷マーカーの一部とEndMT示す所見については未確認であるが、その他の結果はほぼ仮説に矛盾せず、次のステップである培養細胞を用いた実験系を進行させることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
Sugen-Hypoxiaマウスの実験において、γH2AX以外のDNA損傷マーカー(リン酸化ATM、BRCA1、リン酸化DNAPK)についても検索する。また、EndMT示す所見として肺組織の二重免疫染色(α-SMA、CD31)を行う。 さらに研究計画書に則り以下の研究を進める。 i) 肺動脈内皮細胞(PAEC)に 特異的な応答の探索;PAEC を酸化ストレス(過酸化水素)、放射線(5Gy)、抗がん剤(シスプラチン)で刺激し、遺伝子発現をRNA sequencing により網羅的に解析、さらに3 種類の刺激に共通する遺伝子発現をDNA 損傷応答遺伝子群として同定する。 ii) 培養PAEC を、上記酸化ストレスなどのゲノム損傷因子、あるいはこれと低酸素環境との組み合わせによりEndMT が惹起されるか否か検討する。また i)の実験で著明に発現が誘導された因子(PAEC 特異的DNA 損傷応答遺伝子)を単独でPAECに添加あるいは過剰発現し、EndMT が生じるか検討する。
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Causes of Carryover |
γH2AX以外のDNA損傷マーカー(リン酸化ATM、BRCA1、リン酸化DNAPK)についての検索や肺組織の二重免疫染色(α-SMA、CD31)が未実施であるため、次年度使用額が生じた。上記実験は次年度行うこととし、当該助成金は、その際必要な抗体購入のために使用する予定である。
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