2023 Fiscal Year Research-status Report
肺動脈性肺高血圧症の内皮間葉分化転換におけるDNA損傷応答とTGF-βの役割
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22K08212
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
杉本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (30404867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 隆史 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40346482)
三阪 智史 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50793080)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / DNA損傷 / 内皮間葉移行 / TGF-β / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はSugen-Hypoxiaマウスの実験において、内皮間葉転換(EndMT)を観察するために肺組織の蛍光二重免疫染色(α-SMA、CD31)を行い、両者の共発現量の比較を行った。 また、Sugen-Hypoxiaマウスの肺組織においてγH2AXの発現が亢進しているという前年度の結果から、γH2AX以外のDNA損傷マーカーであるリン酸化ATMについても肺組織内の発現をウエスタンブロットにより比較した。さらに蛍光二重免疫染色により、肺動脈内皮細胞のγH2AX発現量を観察した。 結果:Sugen-Hypoxiaマウスの肺動脈内皮細胞において、α-SMA陽性を示す内皮細胞は、コントロール群に比して増加している傾向が見られたが、統計学的な有意差は認められなかった。ATMのリン酸化はSugen-Hypoxiaマウスの肺組織において亢進が認められた(pATM/ATM; 179.7±131.0 vs 44.9±28.8, p<0.05)。また、免疫染色の結果、γH2AX陽性細胞数の全細胞数に対する割合はコントロール群とSugen-Hypoxia群の間で差は認められなかったが、1内皮細胞数当たりのγH2AXの顆粒数は、Sugen-Hypixia群で有意に増加していることが明らかとなった(1.03±0.32 vs 0.49±0.08, p<0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度予定されていた培養細胞実験が未実施のため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの実験の再検を行うと同時に、以下の実験を進める。 i) 肺動脈内皮細胞(PAEC)に 特異的な応答の探索;PAEC を酸化ストレス(過酸化水素)、放射線(5Gy)、抗がん剤(シスプラチン)で刺激し、遺伝子発現を RNA sequencing により網羅的に解析、さらに3 種類の刺激に共通する遺伝子発現をDNA 損傷応答遺伝子群として同定する。 ii) 培養PAEC を、上記酸化ストレスなどのゲノム損傷因子、あるいはこれと低酸素環境との組み合わせによりEndMT が惹起されるか否か検討する。また i)の実 験で著明に発現が誘導された因子(PAEC 特異的DNA 損傷応答遺伝子)を単独でPAECに添加あるいは過剰発現し、EndMT が生じるか検討する。
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